KIIAN DIGITALインク取扱開始(2)

前回(KIIAN DIGITALインク取扱開始)に引き続き、今回はKIIAN DIGITALインクのもたらすメリット・デメリットのうち、デメリットについて解説

 

■高濃度インクに帰属するデメリット

1. 色素分量の増加とノズル詰り

昇華インクの色素は染料ですが、通常の染料のような液体ではなく固体です。顔料と同じです。加熱によって固体からガス化するので、インクは「昇華(液体を経ずに固体から気体へと相転移する現象)インク」と呼ばれます。

昇華とは ※作図参考Wikipediaより

固体ですから、高い濃度を得るために色素分量を増やせば、ノズル詰りが発生し易くなります。固体色素の沈殿も起こり易くなるので、ナノレベルへ粉砕してのより高度な分散技術が必要になります。「標準色インクで問題無かったプリンタに、高濃度インクを搭載したらノズルが詰まった」という話は珍しいことではありません。

 

 

2. 高濃度とざらつき感

もう一つの大きな問題は、長所であるはずの「高濃度」がもたらします。インクスロットが六個、あるいは八個と並ぶプリンタは CMYKの他に、何色を差し込むでしょうか? 多くの場合で LCと LMですね。これらの薄めの色は、CMYKインクがまばらに付着する明るい色領域で活躍します。CMYK原色だけのプリンタでは、明るい色領域での原色を小さな点にしてまばらに存在させます。

これが「ドット感、ざらつき感」として敬遠されます。原色の小さなドットをライト系のドットで代替すれば、同じ濃度を得るのにドット数を沢山出せます。大きな面積に出来ます。ドットが大きくなって潰れて来るので小さな濃い点が並ぶ「ドット感」が減ります。

 

下図に、グレー色を表現するドット例を示しました。同一濃度の色を表現する時に、解像度は同じでも、濃い黒の方がドットの数が減ります。グレーインクよりは標準黒インクが、標準黒インクよりは高濃度黒インクの方がまばらに散在することになります。このように、ドット感についてだけ言えば、高濃度インクの採用は、ライト系インクを採用する対策と逆行する「改悪」になるのです。

 

■デメリットへのサンリュウの対処
高濃度インクは、高速を求めるアパレル業界対応のインクですから早い乾燥が求められます。速い乾燥のためには少ないインクで同じ濃度の発色をさせます。ですから、高濃度インクセットにはライト系インクが無い場合が多いのです。幸い KIIANインクの場合は、LC、LMも用意しています。ただ、日本のサイン業界の求める品質レベルは高く、さらにドット間を押さえるためグレー色インクの採用が求められる場合が少なくありません。このようなお客様のために私どもは、HANAEインクのグレーを提供します。KIIANインクとミックスしての使用に問題はありません。

 

もう一つの有効な対処法は RIPの機能を使ってドットの出方を換える方法です。当社は看板業界だけでなく、捺染印刷業界でも定評のあるスイス・ErgoSoft社の輸入元であり、同社のソフトウェアRIP (ErgoSoft RIP) を販売しています。このRIPの採用が条件になりますが、いくつかの手法でドット感の軽減が出来るようお手伝いさせていただきます。

さて、次回情報ではいよいよ、KIIAN DIGITALインクのもたらすメリットについて解説します。