KIIANインクの採用メリット(3)

前回(KIIANインクの採用メリット(2))に引き続き、今回もKIIAN DIGITALインクのメリットについて解説します。

KIIAN DIGITALインクの採用メリット(3)
株式会社サンリュウ

■印刷~転写までのサイクルの短縮
転写紙に印刷した昇華インク画像を、すぐに転写作業に使用するのはお薦めしません。昇華インクの中の水分が完全には乾燥していないからです。200℃前後で加熱されると、残留水分はガス化して転写紙と布との間で悪さをします。濃色ベタ画像なのに、転写したら平坦なベタでなく、斑模様のあるベタになってしまったという経験はありませんか?これを防ぐには、転写紙上の印刷画像を転写前に乾燥させておくことが有効です。長尺印刷のためロールで印刷済転写紙を巻き取る場合は、自然乾燥一日は必要と言われています。
KIIANインク採用ならどうなるのでしょうか?前回までに詳細したように使用インク量が減るので、その分転写紙に付着する水分量も減ります。当然、必要な乾燥時間も短くなり、作業効率がUPする訳です。

 

■転写紙上で乾燥が早い

1.印刷18時間後の引き伸ばしテスト:
乾燥の早さを比較するため、CMY300%ベタ画像を用意し、夕方4時に、HANAEインクとKIIANインクそれぞれでこのベタ印刷をした転写紙を放置して帰り、翌朝10時(18時間後)に引き伸ばしテストを行いました。

具体的には、ベタ画像の上に同じ転写紙の裏側を強く押し当てて横方向にずらしてみました(転写紙の巻取状況を想定)。二種類のインク、HANAEインクとKIIANインク両方とも余白部が少し汚れましたが、HANAEインクの汚れの方が目立ちました。添付画像1. 左右に並ぶベタ画像は、同じインク量を吐出させたもので、色はKIIANインクベタの方が濃くなっています。

 

添付画像1.  擦られて汚れたCMY300%ベタ画像(印刷18時間後)

左:KIIANインク、右:HANAEインク

 

 

2. 引き伸ばしテスト2回目 1分、3分、5分後:

次に、印刷した後の放置時間を分け、1分、3分、5分毎に同様のテストを行いました。印刷18時間後の引き伸ばしテスト時と比べて、転写紙の裏側を押し当てる力は少し弱めました。

ベタが三本並ぶ 添付画像2. が、その結果です。ベタの左側と中央の2本はKIIANインクで、右側がHANAEインクです。それぞれ、KIIAN左、KIIAN中央、HANAE右と仮に呼称します。

KIIAN左は、HANAE右のインクベタと同濃度になるインク量で印刷したベタです。KIIAN中央は、HANAE右のインクベタと同じインク量で印刷したベタです。KIIAN中央のベタが最も濃い濃度で印刷されています。

A、B、C三段に分けた引き伸ばしテスト結果は、放置時間1分、3分、5分(下から上方に向かって)による差を示します。

HANAEインクベタは、18時間後の引き伸ばしテスト結果との比較で、軽い荷重にもかかわらず、より多くのインクが削られています。18時間後よりも、もっと未乾燥状態と理解できます。

これと比較すると、HANAEインクと同じインク量のKIIAN中央インクベタは、削られ方が非常に少なく、濃度を同じにしてインク量を減らしたKIIAN左インクベタは、A部分の5分経過時なら削られる部分が無く、余白部汚れが全く無いレベルまで来ています。

このあまりに大きな差は、インク乾燥差だけでなく、インクが硬化する構造による影響も加わっているように感じました。例えば、KIIANインクのと比較するとHANAEインク硬化膜は転写紙の、より表面側に形成されて引っ掻かれ易い、といった構造なのかもしれません。

 

添付画像2. 擦られて汚れたベタ画像(印刷1,3,5分後)

左から、KIIAN左、KIIAN中央、HANAE右

KIIAN左:HANAE右のインクベタと同濃度になるインク量のKIIANインクで印刷

KIIAN中央:HANAE右のインクベタと同じインク量のKIIANインクで印刷

HANAE右:比較元として使用。HANAEインクでのベタ印刷

A横軸部分は5分後、B横軸部分は3分後、C横軸部分は1分後に擦った結果(印刷18時間後のテストよりは弱い力を使用)

 

この一連の引き伸ばしテスト結果から言えるKIIANインク採用メリットは、印刷後の転写紙巻取が容易になること、プリンターでの巻取り途中や転写機上でのロールからの引き出し時に弛んだ部分で発生し易い、擦れ不良の減少、などが挙げられます。

なおご紹介が遅くなりましたが、KIIAN DIGITALインクの採用メリット説明のためのテストに用いている転写紙は、すべてColdenhove(コールデンホフ)社の転写紙です。Coldenhove社はインクジェット昇華転写紙の基本となるガスバリア性に関する世界特許を取得して、メーカー各社にライセンス供与を行っている会社です。その転写紙は世界標準となっています。

次回は最終回で、「転写紙波打ち減少」と、「転写率の悪い転写紙、インク受容性の低い転写紙使用可」の説明です。