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馬救出作戦の記念碑を昇華転写アルミ板で

作成事例:Coldenhove社の昇華転写紙を使用した屋外設置アルミ金属プレート

 


はじめに:dobbepaarden ウマ救出作戦について

Rescue of 200 horses by 7 women in 2006 youtube動画より抜粋

2006.10.31 オランダ北部。大嵐による洪水が発生、小さな高台で150~200頭以上(※諸説あり)の馬が孤立。多くの人々が馬を心配し救出を願った。残念ながら衰弱や溺死により少なくとも19頭が死亡。

最初のボートによる救出作戦は仔馬を含む20頭の救出に成功するも、その後ボートが浅瀬に乗り上げ失敗。

ボートで餌を運ぶことには成功しつつも救出がうまくいかないまま日数が経過し状況は悪化。数日後、多少水が退いたことで浅瀬を使った別の救出手段を試すチャンスが到来した。

潜水服に身を包んだ消防士達が浅瀬を探り脱出ルートを決定。脱出ルートは水深1~2mの浅瀬を通るように設定された。

馬に乗った数人の娘が志願。海を渡って近付き、馬を陸地まで誘導する作戦が開始された。男達は海に入りそれぞれが浅瀬の誘導ポイントで待機。緊張しながら女達と馬が戻って来るのを待った。

誘導に失敗して深みにはまれば、溺死してしまうのだ。
そして……。

 

(※リンクした動画の最初は説明で、浅瀬救出作戦は1分25秒~です)

馬に乗った女性達をはじめ多くの人々の努力により、浅瀬を使った馬達の救助は成功した。

 


 

この栄誉を称えるため記念碑の作成が行われることに。

馬達が取り残された現場近くへの7kmの歩道が整備され、昇華転写用アルミ製パネルで記念碑が設置されることになりました。

記念碑施工を請け負った広告看板製作業界大手のA社は、当初は他社の転写紙で検討。しかし他社の転写紙では以下の問題に対応できず、Coldenhove社のDHS昇華転写紙に変更することになりました。

Coldenhove社

1.コックリングの問題
記念碑には濃い黒の発色が必要とされました。大量の黒インクを受け止めるためには転写紙の厚みや重さが重要です。

インクを大量に使うと転写紙の厚みが薄い場合はコックリングが発生し、プリントヘッドをこすってしまうからです。ヘッド位置を高めにすることでも対処は可能ですが、そうすると”ぼやけて”画質が低下してしまうのです。

広告看板製作業界大手のA社には画質低下は受け入れがたいことでした。ここでColdenhove社の厚手昇華転写紙を使用することでコックリングの問題はやっと解決しました。

 

2.ゴーストの問題
アルミ製パネルの昇華転写時には、熱転写機からの高熱でアルミが伸縮します。金属転写の場合、大型サイズの転写になるほど熱伸縮の影響が大きくなり、コーナー部分でのゴースト発生が問題となります。

金属の伸縮に追随できない転写紙だとどうしてもゴーストが大きくなります。伸縮性に優れているColdenhove社の厚手昇華転写紙を使うことで、ゴースト発生の問題が解決されました。

 

Coldenhove社 大型昇華転写紙の製造場面

 

A社が導入している大型ヒートプレス機。おおよそ122 x 244 cmサイズまでの転写紙を使用可能
これから昇華転写用アルミパネルへの転写を行う

転写済パネルを床で仮組みしながら、配置確認用の小型印刷を見てチェック中

22枚もの大型アルミ昇華転写パネルを組み合わせてゆく

アルミパネル転写後、土台も含めて作業は続き、そして現地へ

ラミネート処理も施された2tの重量にもなる記念プレートを施工

 

施工が完了。救出されてゆく馬がプレートに描かれています

左に見えるのは馬に乗った先導役の女性でしょうか

海を駆け抜ける馬達の勇姿がここに刻まれたのです

 

 


 

関連リンク

Artwork dobbepaarden has finally arrived after 13 years, presentation on Friday

https://www.omropfryslan.nl/nl/nieuws/904578/kunstwerk-dobbepaarden-is-er-na-13-jaar-toch-gekomen-vrijdag-presentatie

dobbepaarden ウマ救出作戦と記念碑作成/完成式典に関する2019年の記事。記念碑アップの画像が冒頭にあります。関連画像や動画なども。