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続報!【トナー転写紙SB-DARK】マスクに転写してみた

 ウレタンマスクへ驚異の1秒圧着転写!

今回は、前回記事『【トナー転写紙SB-DARK】マスクに転写してみた』の続報記事になります。

前回記事で、ウレタンマスクへのロゴマーク転写で、再昇華現象による汚れ問題への対応策を記しました。採用した手法は、マスク素材への画像の熱圧着時間を1秒間に短縮するというものでした。再プレスも無しです。

他社の転写紙では通常、数十秒間熱圧着しているのに、SB-DARKでのマスク転写ではたったの1秒の熱圧着、加圧したらすぐさまプラテンを引き上げるという早業でした。
「1秒加圧で画像を転写できるの?」と半信半疑の方もいらっしゃると思います。SB-DARK転写なら、問題無く可能です。受像紙ベースシートの引き剥がしは不良率ゼロでできます。

さて、今回の続報は、「それなら、画像が落ち易いんじゃない?」と警戒を容易に解かない慎重な方のために記しました。


◆洗濯堅牢度は?

前の記事では、ウレタンマスクを洗濯ネットに入れて洗ったご報告をしました。10回の洗濯後に、光沢も全く落ちない高い堅牢度結果でした。正直、これは当社の試験担当者も驚かされました。「それなら」と、洗濯テストを継続することにしました。
11回目、12回目、全く変わりません。「え~い!」と次に敢行したのは、ネットから取り出して洗濯機へ放り込み、他の衣類とごちゃまぜの洗濯です。

◆洗濯ネット無しでの洗濯堅牢度
一回、二回と、続けるうちに10日目を迎えました。他の衣類とごちゃまぜの洗濯です。
まさかというか、期待通りというか、自分でも驚きました。全く変化無しです。光沢もそのまま残っています。テストはここで打ち止めにしました。
これは、Tシャツなどと違ってウレタンマスクの繊維密度が高く、表面平滑性が高いためと推測しました。転写画像層と繊維接触面積が大きくなっているのだろうと思います。

ともかく、再プレスもしないのに、高い洗濯堅牢度を確認できました。皆さんも、ぜひ試してみてください。

◆作業改善への努力を続けるサンリュウです
受像シートと接着層シートのAB二枚のシートを使って、カッティング無しに、画像部だけを転写する転写紙は、鋭角切り込み部にカスが残ったりしやすいものです。
当社のお客様からも、「上手く抜けない」、「割れが出る」などのご相談を頂くことは少なくありません。
当社の特長は、このような時に、お客様によって異なる条件、お持ちの機器や、転写の様々な条件などをお聞かせいただき、問題解決に向けてご一緒に取り組ませていただくことでしょうか。

結果的に、おかげさまでSB-DARK転写紙の転写条件も改善され、お困りの問題への対策を迅速にご提案出来るようになってきています。
他社品をお使いの皆様も、何か課題がございましたらご相談いただきたく、お待ち申し上げております。


『トナー転写紙SB-DARK』を使用したウレタンマスクへの転写にご興味ございましたら、ぜひ
お問い合わせください。


株式会社 サンリュウ

〒334-0073 埼玉県川口市赤井 1-10-7
Tel: 048-446-6786
www.sanryu.com

【トナー転写紙SB-DARK】マスクに転写してみた

新型コロナ新規感染者数の減少が続いています(※記事公開時点の2021.10月現在)が、まだまだマスクが手放せない日々が続きそうな2021年。当社にマスクへの転写でご相談があり、SB-DARK 転写紙を使ってテストしてみました。その結果をこちらの記事でご紹介いたします。

さっそく、今回のお悩みの概要です。詳細な条件は一部伏せさせていただいております。ご了承ください。

 

■転写対象物

濃色地(紺色)のウレタンマスク(ポリエステル95%、ポリウレタン5%)です。今回は、マスクの下の方に、背景色が白色のロゴマーク印刷をします。※この記事の添付画像はお客様のロゴマークそのものは省略し、正方形で背景色の白色をテスト印刷したものです。

(※記事公開時点の2021.10月現在では新型コロナに対する防御効果において、一般的なマスクでは不織布マスクが最も高い効果を持つとして各所から推奨されています)

(※オンデマンドでデジタルデータ画像を印刷するといった目的では、素材にポリエステルを含んだウレタンマスクが非常に有効で向いています。ですが、新型コロナ蔓延時においては、人がいる場所でウレタンマスク等を使用する場合は不織布マスク着用の上に重ねての使用が推奨されます)

 

■ご相談いただいたお悩み

<問題1> 転写後、生地に定着しづらい(転写面が剥がれやすい)
<問題2> 発色(転写翌日には変色したり、斑模様が出たり、色が沈む)

といったことが、他社のトナー転写紙を使用した転写で発生していたようです。そこで、当社のSB-DARK 転写紙で問題が解決できないか試してみました。SB-DARKは、他社転写紙とかなり違った特徴があるからです。

 

■解決しました!

結論から申し上げますと、無事、解決しました!

当社のSB-DARK 転写では、翌日の変色が起こりませんでした。5日間ほど放置しても問題は見られません。喜び過ぎて問題を見逃さないよう、さらに洗濯テストに進みました。こちらも合格しました!

どうやって解決できたのか。検証内容を簡単にご紹介します。

 

■手洗いと、洗濯テストを敢行

今どきですと、「ウレタンマスクの洗い方」などと、マスク洗濯に関する沢山の解説記事が見つかります。どうせなら、世間で広く行われている洗い方で試すのが良いと考え、二つの方法を採りました。

一つ目は、桶に水をはり、中性洗剤を溶かして 水、又はぬるま湯を入れ、マスクを浸し、押し洗いをする方法。こちらは、優しく洗えるからでしょうか、繰り返しても問題が起こりません。きついのは、もう一つの方でしょうか。

 

二つ目。洗濯ネットにマスクを入れて、口を締め、洗濯機に放り込みました。

使用した洗濯ネット

家で普通に使っていたネットです。

 

この二つ目の方は、ジーンズなんかと一緒に洗ったりしましたから、結構きついと思います。1日一回、10回の洗濯を終えて取り出して見て、うるうるでした。SB-DARK、お前頑張ったね。光沢仕上げをしておいた白色層も、ピッカピカのままではありませんか!

ここまでのテストで、お客様の環境における『<問題1> 転写後、生地に定着しづらい(転写面が剥がれやすい)』は、転写紙の問題であり、SB-DARK転写紙はクリアしている、と判断いたしました。

 

 

■解説です

1.過剰転写条件での検証

変色の原因が、生地を染めている染料の再昇華現象(*1)と仮定して、わざと再昇華を促進させるためのテストを行ってみました。

 

過剰条件転写

通常より長い時間の加熱圧着/白地がピンク色に変色

 

SB-DARK 転写紙を用いて用意した糊付画像を、180℃40秒の過剰条件でマスクへ転写しました。白地部分への再昇華現象が確認され、白地がピンク色になりました。

 

(*1)再昇華現象
マスク生地は、染料を生地の中に浸み込ませて染めています。染料は、生地に浸み込んだ後でも、加熱されると蒸発して再び動き出します。生地に転写シートを加熱圧着すれば、転写された画像の中にも染料が浸み込んでしまうのです。白色の画像でしたが、今回は紺色に染まってしまいました。

 

転写後の放置変化

10日程度で、シミのような変色が現れました。

 

ここまでのテストで、お客様の環境における『<問題2> 発色(転写翌日には変色したり、斑模様が出たり、色が沈む)』を、SB-DARK転写紙でも再現することができた、そしてその問題は再昇華現象である、と判断いたしました。後はこの問題さえクリアできれば、SB-DARK転写紙の使用でお客様のお悩みを解決できそうです。

 

 

2.再昇華を防止するための手法

ロゴマークだけなら、ホットスタンプと言う手法もあります。ただ、デジタル画像転写には、不向きです。トナー画像を転写したいものです。

再昇華問題を回避する対策としては、再昇華防止膜を画像の下に挟む方法があります。ただし、これは、手間もかかり、コストもアップしてしまいます。画像の部分だけに付着させるのも難しそうです。

SB-DARK 転写紙ならの奇策があるのでしょうか?はい、実はあるんです。

 

3.SB-DARK マスク転写法

SB-DARK 転写紙で、以下のようなサンプルを作成しました。

A. 1秒熱圧着サンプル
B. 2秒熱圧着サンプル
C. 3秒熱圧着サンプル

「え?」と驚かれたでしょうか? 再昇華を防ぐなら、熱をかけない事です。しかし、通常のABシート突合せ型のトナー転写紙では、この条件は不可能です。画像をマスクに転写出来ないからです。SB-DARK 転写紙ならOKです。1秒熱圧着後のベース紙剥離も、不良率ゼロで出来ます。

通常のTシャツ転写で転写後に必要とされる再プレスも、加熱を伴います。これも省略してしまいました。ですから、もっとも短い加熱時間のサンプルは、1秒加熱で作成しました。

 

1秒熱圧着

新品同様に驚くほどきれいです。光沢も完璧に残っています。

 

■洗濯テストの結果詳細

A. 1秒熱圧着サンプル
B. 2秒熱圧着サンプル
C. 3秒熱圧着サンプル

実は、再昇華現象は、洗濯しなくても進みます。転写後に10日程度放置すると、所々に浸みのような斑点が現れたりします。上記3種サンプルは、10日後も、真っ白のままでした。優秀です。そこで、10回の洗濯テストに入りました。3回、4回と繰り返すうちに、B,Cサンプルにはピンホールのように小さな斑点が数か所現れました。6回、7回…。Aサンプルは未だ真っ白のまま、ついに10回目が終わりました。

これ以上の洗濯は、使い捨て商品には意味がないと思ってのストップでした。Aサンプルには、画像の脱落も、浸みの発生も無く、光沢も変化無しでした! 熱圧着時間の短縮が効果的であることが、よくわかりました。また、洗濯ネットのおかげでしょうか、画像のマスクへの接着強度も全く問題ありませんでした。

 

■まとめ

問題のご相談を頂いたお客様には、その後SB-DARK 転写紙をご購入いただきました。

弊社ではこのように様々なご相談を請け、社内でも検証しています。今後も、お客様に共有したいと思った情報を発信してまいります。SB-DARKをすでにご使用中の方もそうでない方も、何かお困りのことがあればぜひお気軽にご相談ください。

 

 

 

EXOstencilと従来のスクリーン印刷製版との違い

以前の記事でご紹介した、スクリーン製版用転写紙『EXOstencil(エクソステンシル)』について、今回は、従来のスクリーン印刷製版との違いや、EXOstencilはどんな方に採用されるのか。というのをご紹介いたします。

◆EXOstencilについて、以前ご紹介した記事は コチラ をクリック!
※高解像度の商品紹介動画(日本語ナレーション付)も以前の記事からご覧ください


スクリーン製版用転写紙EXOstencilは、従来のスクリーン印刷用製版と比べると工程が少なく、化学薬品を用いず、必要機材も少ない手法です。
では、どんな方が導入するのに向いているのでしょうか?

従来のスクリーン印刷(※シルクスクリーン印刷、シルク印刷なども同じ意味です。昔はシルクを使い紗を張り、今はポリエステル、ナイロン等を使用)は、乳剤や露光パネルが必要です。
版枠を用意して、メッシュ状の紗を張る乳剤を塗布ポジフィルム吸着露光パネルで焼き付け露光後の紗を水洗い乾燥させる、 といった工程です。
なお、版は別の画像用に再利用はできません。

それに対し、EXOstencilの場合は、従来の製版工程が簡略化されます。
PCとプリンターで受像シートに画像印刷画像用シートに糊シートの糊層を転写紗に糊層付き画像を熱プレス転写、という工程です。
なお、高圧ジェット水で転写画像層を剥がし、紗を別の画像用に再利用が可能です。
もちろん、リピートオーダーのためにフィルムを剥がさず、版を保管することも可能です。

EXOstencilは、従来のスクリーン印刷用製版と比べると工程が少なく、必要機材も少ない手法です。

それでは、どんな方が導入するのに向いているのでしょうか。

例えば、 仕事でコピー転写や昇華転写をしている印刷屋さんが、今まで外注に出していたスクリーン印刷の仕事を内製化したい、という場合の方です。
スクリーン印刷の経験が無いと、製版工程の複雑さ、必要な熟練技術、設備投資額の大きさなどで、内製化に尻込みしてしまいます。
EXOstencil製版法なら、未経験の方でも導入が容易です。

また、スクリーン印刷業を本格的に展開している印刷工場で、200枚とか500枚程度の小ロット受注業務もこなしている場合があります。
このような仕事では、製版代がネックになっています。従来製法による版は耐久性がありますが、製版コストは高価です。
しかし、このような少ない印刷数では元が取れません。
このような場合には、大きなコストダウンが出来る EXOstencilの採用が勧められます。


スクリーン製版用転写紙『EXOstencil(エクソステンシル)』にご興味ございましたら、お気軽にお問い合わせください。


湿気に注意!トナー転写紙SB-DARKの取り扱いについて

トナー転写紙SB DARK 受像紙表面には湿気に敏感なコーティング層が形成されています。
ジッパーバッグから使用枚数を取り出した後は、バッグのジッパーを必ず閉めて保管するようにしてください。乾燥剤を入れるのは、より効果的です。

梅雨時期に入って、「SB DARK受像紙に白糊を付けた際に、余白に余計な糊が付きやすくなっている」というご相談が入りました。弊社でも同様の現象を確認できました。
コーティング層の吸湿が進むと、トナープリンタの感光ドラムに汚れが付くこともあるようです。

既に水分を含んでしまっていると思われる場合は、下記のような作業を行って水分を蒸発させてください。印刷前でも、白糊接着前でも有効です。

 ・ドライヤーの温風を当て、湿気を飛ばす。
 ・プレス機のプラテンの熱で湿気を飛ばす。

以上のご注意をお願い申し上げます。


◆SB-DARKに関する商品紹介関連記事はこちらです
【1】濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内
【2】濃色地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内【続編1】
【3】濃色地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内【続編2】
【4】号外!濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内
【5】号外2号!濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内


ご不明点のご質問、ご相談がありましたら、(株)サンリュウへお問い合わせください。


SB-DARK値下げのご案内

SB-DARK値下げのご案内です!

この度、トナー転写紙SB-DARKの価格を以下の通り値下げいたします。

おかげさまで同商品の発売以来ご好評をいただき、取扱量が増えたため、メーカーと交渉し商品価格値下げの協力を得ることができました。これにより仕入れコストが削減されましたので、会社設立以来の方針のもと、お客様へ利益還元させていただきます。

なお、新価格は114日(火)販売分からの適用となります。何卒よろしくお願い申し上げます。

◆対象商品:トナー転写紙 SB-DARK

仕様/販売単位

旧価格()

新価格()

新価格(税込)

1枚単価

A350枚組

23,000

21,000

23,100

420

A320枚組

10,400

9,500

10,450

475

 

SB-DARKとは、濃色生地Tシャツ用のトナー転写紙です!
商品詳細記事はコチラをクリック!

 

ご不明な点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

 

スクリーン製版用転写紙EXOstencilのご紹介

レーザープリンタで印刷したトナー画像を転写してスクリーン版を簡単に作成!
スクリーン製版用転写紙 EXOstencil(エクソステンシル)のご紹介です。

EXOstencil転写紙は、LEDプリンタ印刷画像を転写してマスク部を作り、スクリーン印刷用版を簡単に製版できます。(従来のスクリーン印刷用版は、フレーム枠に張った紗(しゃ)に乳剤を塗布し、露光・現像処理を行うなど複雑な工程を経て形成していました)

◆簡単な使用方法のご紹介
1.Aシートにレーザープリンタでデザインを印刷します
2.熱プレス機を使って、AシートへBシートの糊を付けます
3.Bシートを剥がし、糊付けされたAシートを使ってスクリーンメッシュに型を転写します
4.転写後、メッシュからAシートを剥がせばスクリーン印刷用版の完成です
5.使用した後の版は、水洗い(水圧1500PSIまたは103バール)で洗浄すれば、再利用可能です

商品をよりご理解いただくために、紹介動画をご用意しました!
※日本語ナレーション付なので、ぜひ音声をONにしてご覧ください

EXOstencil(エクソステンシル)転写紙とレーザープリンタ(LEDプリンタ)を使用したシルクスクリーン印刷用版の製版手法には、Neenah 社のSelf-Weeding Transfer Paper技術(特許取得済み)が活用されています。
プロセスは簡単な2ステップで、数分で製版を完了できます。環境に優しい手法で、化学薬品は使用しません。大きな設備投資も不要です。

EXOstencilは、スクリーン印刷を始めるのをためらっている方にとって、考え方を変える朗報になる商品です。 作製した版は、プラスチゾルインクと、水性インクを用いたスクリーン印刷に使用できます。適したスクリーンメッシュ数は、85~230です。

Neenah Coldenhove 社(https://www.coldenhove.com/)商品の輸入販売元である当社は、昇華印刷画像用と、トナー印刷画像用の様々な転写紙を取り扱っています。これらの転写紙で画像転写される対象商品の多くは、転写印刷して完成という、のぼり旗や、Tシャツ、マグカップなどの最終商品です。ただ、今回ご紹介するのは、中間商品です。
転写物は、それを利用して別の最終商品を完成させるために用いられます。シルクスクリーン製版用転写紙 EXOstencilは、そのような商品です。

なお、当社の販売のための在庫体制はまだ整っておらず、これからの商品です。

EXOstencil(エクソステンシル)転写紙ご質問のある方、サンプルでの品質確認をご希望の方など、ぜひ、お問い合わせください。

関連記事: EXOstencilと従来のスクリーン印刷製版との違い

号外2号!濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内

 

濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKの号外2号です!


↓ ↓ ↓ これまでのシリーズ記事を是非ご覧ください ↓ ↓ ↓

◆濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARK シリーズ4記事
1)19/05/31 UP:濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内https://sanryunews.com/2019/05/31/sb_dark_toner_transfer/

2)19/08/08 UP:濃色地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内【続編1】
https://sanryunews.com/2019/08/08/sb_dark_toner_transfer_sequel1/

3)19/09/04 UP:濃色地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内【続編2】https://sanryunews.com/2019/09/04/sb_dark_toner_transfer_sequel2/

4)19/09/13 UP:号外!濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内https://sanryunews.com/2019/09/13/sb_dark_extra_news/

 

きりが無いので、本稿でSB-DARKの紹介シリーズは完結とします。

今回も大変嬉しいお客様からのお知らせだったので、我慢しきれず投稿しました。
前回同様、本稿も詳細までは書かないことを条件に、お客様の許可を得て発表するものです。

 

◆年間数千着のTシャツ印刷を行う、プロ中のプロ!
お客様は、1000~2000枚のオリジナルチームTシャツ印刷を年に2~3回請けていらっしゃる会社です。三年以上前に、当社の濃色生地Tシャツ用転写紙 TC DARKにお問い合わせを頂いて以来のお付き合いです。

ただし、その時も、その後も同じですが、当社商品は不採用になっています。今回は当社特許商品のSB-DARK転写紙へのお問い合わせを頂きました。


◆今回は違った当社の対応

お客様は、当社商品を採用しませんが、お聞きすればいつも快く色々なことを教えて下さいます。驚かされることは、国内だけでなく、海外メーカーにも直接コンタクトされて、サンプルなどを求められていることです。

ですから、世界中の商品をご存じで、実際に各社の商品を取り寄せて比較テストをされ、詳細情報をお持ちでした。そのお客様からの久しぶりのお問い合わせですから、当社も真剣にお聞きしました。
「採用になるためには、何をクリアしなければならないか?」です。サンプル送付前に、それを社内確認するためです。


◆ABペーパーに求める要望

お客様から届いた回答は下記でした。

1.失敗しないでシートが簡単に作成できるシート
2.シート品質の安定(糊にばらつきがあるので)
3.ABシート作成時の秒数(40~50秒程度)、Tシャツ転写時の秒数(10秒程度)
4.堅牢度
5.トナープリンターとの相性(紙が滑るのでトナーがのりにくいため)
6.シートの単価(日本は高いように感じます。)

当社が捉えた絶対条件は1番の「失敗しないでシートが簡単作成」でした。
3~6番は自信があります。1番をクリアするため、お客様から確認用の画像を送っていただきました。そしてサイズはA3です。そして密かに設定した目標が不良率0%でした。

SB-DARK更新情報【続編2】で発表した不良率0%は、このお客様のご要望にお応えしようとした結果でした。


◆100枚のご発注をいただきました!

発表前の更新情報記事を添えて、私どもの社内テストで作成したサンプルと、ご自身での確認用ABシートをお送りすると、下記のような一報が入りました。

【ABシート作成時のお客様からのご感想】
・作成の秒数が20~30秒と早い
・ベタ面全く問題なく、素人でも糊付けが簡単(正直半信半疑でした)
・ベタ面部分の糊の硬さも許容範囲内で全く問題なし(この時点で間違いなく売れると思います)

更にこのようなお言葉も!

『結論から言うと、私が知る限りのSelf weeding paperの中で ABシート作成時、堅牢度は1番いいかもしれません。勿論、継続的に使用しないと糊のロットムラによる不良や洗濯堅牢度、プリンターの相性はわかりません。1枚しか試してないですが、貼り付けた後の糊の硬さ(風合い)や引っ張った際の糊の伸縮は素晴らしいです。』とのことです!

一枚の試作でここまで判定されるお客様のご経験の深さに驚かされますが、お世辞に終わらず、100枚のご発注を頂きました。さらに確認テストを進められることと思います。


◆お客様とともに発展して行きます

前回もそうでしたが、このお客様ともこれから末永くお付き合いいただけるのではないかと期待しています。お客様のご経験から、当社が学ぶことがたくさんあります。いろいろと教えていただこうと考えています。
そして、共に妥協せず、より良いものを追及して、互いに発展して行けたらと思います。

当社は営業力が無い分、技術開発に注力する会社です。この号外記事を読まれた方で、当社がお役に立てそうな案件がありましたら、遠慮なくご相談をお寄せください。

不十分かも知れませんが、今回のトライと同様に、真剣に取り組ませていただこうと考えています。

 

 

号外!濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内

更新ニュースの本シリーズは、三本目の「続編2」で完結予定でした。

◆濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARK 本シリーズ3記事
1)19/05/31 UP:濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内https://sanryunews.com/2019/05/31/sb_dark_toner_transfer/

2)19/08/08 UP:濃色地Tシャツ用転写紙SB DARKの1ご案内【続編1】
https://sanryunews.com/2019/08/08/sb_dark_toner_transfer_sequel1/

3)19/09/04 UP:濃色地Tシャツ用転写紙SB DARKの1ご案内【続編2】https://sanryunews.com/2019/09/04/sb_dark_toner_transfer_sequel2/

 

しかし、嬉しいニュースが届いたので、早速「号外」としてご報告することにしました。

本稿は、詳細までは書かないことを条件に、お客様の許可を得て発表するものです。

 

◆トートバッグへのSB DARK転写紙トライ
本シリーズの記事をご覧になったお客様から、SB DARK転写紙を早速使ってみたいとご連絡いただきました。

お持ちのプリンターは、白トナーと黒トナーを差し替えて使用する4色プリンターでした。転写物はトートバッグです。既に、エンドユーザーにはプリンター購入先の提供する転写紙を用いてサンプル提供まで終えていらっしゃいました。

しかし、取引商社の同類転写紙の価格が高く、印刷しなければいけない画像が非常に精度を求められるもので不安をお持ちだったようです。実際、画像に入っている最も小さな文字は、高さ1mmもありません。

 

◆自慢の迅速な当社の対応
普段は決して迅速とは言えず、お叱りを受けることの方が多く、自慢は今回だけです。

お客様から「至急使いたい案件が1件」あると訴えられましたので、当社からは当日、ご指定の画像の転写済バッグ生地サンプルを作り、問題無く出来ることを確認して、サンプルの写真をお送りしました。
これを確認されたお客様から、「良さそうだ」ということで、早速SB DARK転写紙50枚のご注文をいたただきました。もちろん、作業マニュアルも一緒にお送りしました。宅配便なので翌日着です。

そして、その翌日、商品発送からの二日後、お客様から「上手く行った」というご報告と新たに100枚のご注文を頂きました。

 

◆お客様の不良率
お客様はプレス機を相当数所有され、豊富な転写経験をお持ちのようです。
今回はA4サイズ転写紙25枚分を転写されました。お聞きすると、6、7枚の失敗があったとのことでした。これは各社の異なるプレス機で異なる条件でトライしたためとのことです。

今は作業のコツをつかみ、マスターしたとの自信のお言葉がありました。大変うれしいご報告でした。

 

◆お客様とともに発展していきます
SB-DARK転写紙からは少し離れたお話です。

今回のお客様とはこれからも末永くお付き合いいただけるのではないかと期待しています。お客様のご経験から、当社が学ぶことはたくさんあります。

当社の研究開発テーマは、すべてお客様から頂いてきました。これからは、さらに意識して情報交換に努め、お客様との間の関係を強めていこうと考えています。

その先には、当社のような研究開発会社、素材・装置の販売会社、営業力ある商社、印刷加工を請
ける出力会社までにまたがる提携グループを作り、協業で商売を発展させていく考えがあります。時代の変化スピードが上がり、投資リスクが高まっている中では賢明な手法と考えています。

提携グループへのアイディアなどは気軽にお声をかけて下さるようお願い申し上げます。

 

 

今回の件に限らず、お客様からの貴重なご意見・ご要望、ご報告は、どんなに些細な事であっても、当社にとって大変貴重で大きな財産となり、今後さらに邁進するための力となります。

是非、お気軽に当社までお問い合わせ下さい。

 

濃色地Tシャツ用転写紙SB DARKのご案内【続編1】

 

前回の記事に多くの反応をいただいているようなので、続編を掲載することにしました。

◆前回記事(19/05/31更新分)
濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内https://sanryunews.com/2019/05/31/sb_dark_toner_transfer/

 

今回は、AB両シートを用いた転写における各種問題についてより詳細に記してみます。
引き続き、受像紙をAシート、白糊層を形成した糊層転写紙をBシートと呼びます。

皆様が抱えていらっしゃる問題は、下記のようなものになるでしょうか?

1)細部の転写が出来ない
2)商品価格が高い
3)作業性が悪い
4)不良率が高い
5)商品取り扱いに注意が要る

こうした問題に対し、『その問題、ここが違う!』とし、続編では、よりご理解いただけるようご説明いたします。

 

なお、本稿での転写結果等に関しては、全て当社社内テストによる結果です

◆1)細部の転写ができない

SB DARK転写紙採用なら、1)の細部の転写については問題が解消し、小さな点部まで再現できることを前回記事最後部に転写サンプル写真を添えてご紹介しました。

今回は、実際に競合C社転写紙との比較です。

上の写真が競合C社転写紙を用いた、当社社内転写テストの結果です。
下の写真の当社SB DARK転写紙結果と一致しない箇所があります。


競合C社転写紙の転写結果


当社SB DARK転写紙の転写結果

左方に垂直線が並んでいますが、競合C社転写紙の方は垂直線の間に白っぽいべた線が見えます。丸べた下方にもつながった何かが付いています。これがカスと呼ばれているもののようです。セロテープなどで剥ぎ取れば除去できるのですが、なかなか面倒な作業です。さらに丸べた自体はどうなっているでしょうか?青丸一個が脱落し、赤丸一個が半分に欠けています。因みにこの丸べたの直径は1mmです。一方のSB DARK転写紙の転写結果には、これらの問題は見つけられません。

この差を生む原理については、未公開特許なので前回は説明を控えさせていただきました。今回は少しだけ追加説明します。秘密は受像紙にあるのです。添付写真をご覧ください。


各社Aシート上の画像剥離テスト結果

Aシートに載っている画像の碁盤目剥離テストを行ったものです。Aシートは4種類並べました。左から、競合メーカーのAシート(フィルムF1)、競合メーカーのAシート(紙P1)、私どものTC DARKのAシート(紙P2)、そしてSB DARKのAシート(紙P3)です。セロテープの粘着力で引き剥がされますが、碁盤目部分の画像は、F1とP3の上だけは残りました。P2、P3は、碁盤目部分以外も脱落しています。皆様も、お使いのAシートを使って同様の確認をしてみて下さい。

セロテープ碁盤目剥離テストでAシート上に画像が残るということは、白色接着層をBシートからしっかり受け取れるということになります。SB DARK転写紙で小さな点まで再現できる理由の一つがここにあるのです。

もう一つが、画像部の生地への転写です。生地に熱プレスで圧着されたAシートを剥がそうとすると、生地が伸びたりします。SB DARK転写なら、生地が引っ張られることは全くありません。白色接着層を受け取る時と異なり、生地への転写時には画像が容易に剥がれるからです。これも、小さな点まで剥がれることなく生地転写出来る理由の一つです。

 

◆2)商品価格が高い

次は、2)の商品価格です。皆様ご不満をお持ちのように、各社いずれも安くありません。まとめて発注量を増やせば値引き販売はあるのでしょうが、A3サイズのAB両シートセット定価は下記のような範囲のようです。
これだけの大きな価格メリットが得られるなら、問題解決ではないでしょうか?

競合A社    720円
競合B社    800円
競合C社   620~720円

当社TC DARK  460円
当社SB DARK  460円

 

◆3)作業性が悪い

3)の作業性の評価ですが、Tシャツ転写の標準的なワンステップ転写紙と比べると、作業時間がかかるのは否定できません。AB両シートを使った白色接着層の転写作業が入るので、改善程度に限界があると言わざるを得ません。上記各転写紙を用いた転写作業の所要時間は、下記のようです。推定時間は、各社のHPやマニュアルの中から算出したものであり、当社の理解に誤りがあれば申し訳ありません。ご指摘頂ければ修正します。

所要時間比較 接着層転写  生地へ転写  再プレス  合計時間
————————————————————————————————-
競合A社     45秒      5秒    20秒    70秒
競合B社     90        30    10-30    130-150
競合C社      20-30       20       15         55-65
当社TC DARK     80       22       10       112

これらに対して、皆様のご期待に応えられるかどうか、SB DARK転写紙における作業性のチェックも行いました。下記が、所要時間結果です。作業性は、接着層転写、生地へ転写、再プレス、の合計時間が最短となり、業界最高レベルと成りました。なお、使用設備などで差が出ることも考えられるので、保証値ではありません。

所要時間比較 接着層転写  生地へ転写  再プレス  合計時間
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当社SB DARK    20秒      3秒    20秒    43秒

 

次に、転写工程も記します。さらに、皆様に役立つと思われる作業における様々なワンポイントアドバイスを並べてみました。

①OKI白トナープリンタで受像紙に画像印刷
②ラミネータ―でAB両シートを接着
③プレス機で熱をかけてからBシート剥離・白色接着層の転移
④プレス機で画像部の生地への転写
⑤プレス機で再プレス

<ワンポイントアドバイス>
①OKI白トナープリンタを使用する
当社は販売するべきかどうか検討のため、国内外各社のプリンタ、低価格白トナーなど、様々な商品の品質確認を行ってきました。結論は、計画を全て放棄した上での、OKI白トナープリンタの発売でした。

白トナーの濃度が違います。低価格プリンタをお買いになって、白トナー、黒トナーを入れ替えての二回通しは手間です。紙の熱収縮があり、印刷位置もずれます。お勧めできません。OKI白トナープリンタ販売元となった当社は最低価格でご提供できます。ぜひご検討下さい。

②ラミネータ―でAB両シートを接着する
Aシートに載った画像部も、Bシートの白糊層も表面はいわばフィルムです。熱プレスで押し付ければエア溜りが出来易いです。圧力を強くしてもそれが小さくなるだけで、転写不良の原因になります。小さな柄が散在する画像の場合はエアを閉じ込めるリスクは少ないのですが、べた面積が大きい場合は問題です。ホットラミネータ―で空気を追い出しながらAB両シートを圧着することを勧めます。この原理は各商品共通と考えています。


ラミネーターでAB両シートの圧着がお勧め

③カス取り作業
競合転写紙の中には、白糊層の転写が不完全で、画像輪郭部に余分な白糊層がはみ出してカスとなるものがあることを本稿の冒頭で記しました。このカス取り作業についての説明が商品マニュアルに記されているということは、異常なことではないのかも知れません。
SB DARKではこの作業はありません。

④画像の割れ、その他
生地の洗濯後に画像の割れが現れたり、画像一部の脱落が出易い転写紙もあります。割れは、白糊層の性質に大きく起因すると考えています。割れ問題でお困りの場合は、商品の切り替えをお勧めします。季節や、転写条件の差、あるいは商品の劣化によるものなのでしょうか、Aシート印刷時にべた部に色むらが発生し易いものもあるようです。私どもがテストしたAシートは、乾燥させたり、プリンタの用紙設定を厚紙に選び直したりしましたが問題を解消できませんでした。添付写真のようにAシート上の画像色むらは、生地への転写後も残るようです。


Aシート上画像色むらは、生地転写後も残る

 

★4)不良率が高い

さて、いよいよ、不良率の高さについてです。ここに大きく関わるのが、AB両シートの剥離作業の難易度です。
説明が長くなるので、本稿はここまでにして、次回の続編2で詳細させて下さい。
確かなご説明が出来るよう、社内データ取りを進めます。次回更新情報記事をご用意するまで、少し猶予を頂きます。

 

それでは、次回【続編2】までお待ちください!

★追記関連情報★
2019/09/04:「濃色生地Tシャツ用転写紙SB DARKのご案内【続編2】」をUPしました!
https://sanryunews.com/2019/09/04/sb_dark_toner_transfer_sequel2/

 

濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内

伸びる、精密、安い!

濃色生地Tシャツ用転写紙『SB-DARK(特許申請中)』のご紹介!

 

セルフウィーディング型転写紙です

インターネット検索で「Self-Weeding Transfer Paper」とかの英単語を入れると、濃色生地Tシャツへのトナー画像転写動画が沢山出てきます。画像の無い余白部に薄いフィルム層が付着すると生地の風合いが変わるので、トナー画像転写でもスクリーン印刷のように画像部だけ生地に付着させることが望まれてきました。セルフウィーディング型転写紙は、カッティング機を使用せず、余白部の糊層が除去される新しいトナー転写紙です。

濃色生地用セルフウィーディング型転写紙の多くは、トナー画像を形成する受像紙(Aシート)と、白糊層を形成した糊層転写紙(Bシート)の二種の転写紙から構成されます。AB両シートを向き合わせて熱圧着させてからBシートを引き剥がすことで、Aシート画像側に糊層を一旦転移させ、さらにそのAシートを生地に熱プレス転写させて転写を完了するツーステップ転写紙です。

↑ ワンステップ目の転写工程

多くの商品紹介動画は販売目的の説明ですから、簡単な手順で問題無く転写が終わる印象を与えるよう編集されています。けれども、結果として得られる実際の印刷物と、問題無く転写まで終える作業難易度は動画では分かりません。本稿では、皆様の商品選択を間違いないものにするため、素材や作業性について、これまでの当社の経験からの解説をしてみたいと思います。

なお、光走査法にレーザー方式と LED方式があるので、プリンタ名称はレーザープリンタでなく、トナープリンタと統一しました。又、この解説記事では、白地をカッティングによって得る従来の転写フィルムは除外しています。セルフウィーディングという、カッティング工程無しに白糊層の付いた画像部のみが転写される転写紙に限定して解説して行きます。

 

◆Bシート白糊層の役割

濃色生地Tシャツに転写する画像の下地白色には、生地の色に負けない高い隠ぺい性が求められます。

白色層は、今期から当社が発売元となったOKIデータの白トナー搭載プリンタ・型式 Pro8432WT(CMY+Wの4色機)などで作成できますが、トナーだけでは脆く割れやすく、生地の伸縮に追随できません。生地への密着力も不十分です。柔軟性ある糊層の補強が必要です。この糊を画像に付与するのがBシートです。

↑ OKI Pro8432WT トナープリンタ

ここで最初のご注意です。メーカーに拠っては糊層に柔軟性があまり無いため、転写された画像が割れやすい転写紙があります。他社商品をお使いで、洗濯後の画像割れでお困りの場合はご相談ください。

 

◆セルフウィーディングを可能にする素材構成

さて、刃物を用いての余白部カッティングを行なわないので、AB両シートを合わせての糊転写では、画像層に載った部分だけ糊層がちぎり取られなければなりません。ちぎり取られてBシートからAシートの画像側に転移するよう、Bシートのベースシート表面には剥離層が形成されているのが通常です。ただし、画像の無い部分の糊層は、ベースシートに残さなければいけません。剥離層の上なのに剥離して欲しくないという矛盾する要望に対応しなければなりません。矛盾する要望を可能にする素材は、どのようになっているのでしょうか?

↑ Bシートの素材構成フィルム

先ず、フィルム(糊層=ウレタンなどの熱可塑性樹脂から成る接着層)が自由な形でちぎれる条件です。高温にして軟化させれば良いのです。ただし、軟化したフィルムが画像以外の部分(余白部)に付着しない条件も要ります。表面を石ころの層で覆えば、物に付着し難くなります。石ころに酸化チタンなどを選べば、白色が補強されるので好都合です。Bシートの素材構成は、ベースシート/剥離層/接着層/白色層の四層になります。

では、画像部にはどうして付着するのでしょうか?

この答えも簡単です。トナーが、ホットメルト接着剤だからです。ホットメルト接着剤は必要な温度まで下がってくれば、相手側が石ころでも固着します。AB両シートを合わせて熱プレスした後、冷ませば、画像は白糊層と固着する訳です。ここで、意地悪な質問です。「高温で軟化していた白糊層が冷えたら、ちぎれにくくなるのではなかったですか?」、さらには、「トナー画像も最終工程では生地に転写されるのですから剥離層に載っているはず。画像がBシートに逆移行しないのですか?」

 

◆白糊層の転写紙

↑ トナー画像、接着層の粘度変化

答えの前に添付グラフを見てください。画像を構成するトナーと、Bシートの接着層の温度・粘度特性を表しています。熱プレスで両者が軟化した後、プラテンを開放して放置すれば、トナーと接着層の両方とも冷却して粘度が上昇して行きます。図のように、トナーの粘度上昇カーブがより急傾斜なため、接着層よりもトナー画像層粘度が早く上昇して接着性を発現します。糊層に固着すると同時に、下地の剥離層との密着性も高まります。トナー画像のBシート側への逆転写は起こり難くなります。

ただし、温度が下がり過ぎれば、粘度が上昇した糊層の切れが悪くなり、糊層の剥離層への密着性も高まるので、悪い結果が出ます。温度によっては、画像のBシート側への逆移行も起こり易くなります。ワンステップ目の転写工程は、このように限られた温度範囲内で行わなければならない難しい作業なのです。転写の適正温度範囲を外れれば、シャープに切れた白糊層の移行は行なわれません。

業界各社の商品説明で、「A3は難しいので、A4サイズ転写紙で経験を積んでから行うよう」薦めているのは、サイズが大きいほどワンステップ目の転写での剥離作業時間がかかり、転写の適性範囲を外れ易くなることが理由です。

 

◆サンリュウの特許申請手法

当社が特許申請した濃色生地用セルフウィーディング型転写紙「SB-DARK転写紙」は、ワンステップ目の転写工程の難しさを考慮して、素材の構成を変え、適性転写作業温度範囲をより広くしようと試みたものです。合わせて、精密な画像を転写できるよう、接着層のちぎれやすさを高めようともしたものです。その優れた結果が、私どもに特許申請を決意させました。ですから本稿での二つ目のご注意は、「濃色生地用セルフウィーディング型転写紙で小さな点などが転写出来ない。精密画像は駄目」とあきらめないで下さいということです。5月現在でまだ未公開特許なので、詳細説明は控えさせていただきますが、ご使用を開始されたお客様からは、「今まで諦めていた細かな線や点が転写できる。画像表現範囲が広がった」と、大変喜んでいただいています。

↓ ↓ ↓ 画像を拡大して違いをお確かめください ↓ ↓ ↓

↑ 転写画像の精密性比較 SB-DARK転写紙(左) , 従来の転写紙(右)

添付写真はご参考です。左側がSB-DARK転写紙、右側は従来の転写紙を用いての画像再現精度です。子供の周囲に散らばる無数の小さな点の数が違います。圧倒的にSB-DARK転写紙の再現性が優れるのがお分かり頂けると思います。

価格をご心配ですか?価格は、業界で一番の低価格設定になっていると思います。それを可能にする素材を選びました。洗濯堅牢度試験のA-2法結果は、5級が最大のところの4-5級でした。十分な強度と思います。

 

品質確認のための生地転写サンプル、生地へご自身で転写されるための糊層転移済みのAシートのご希望、あるいは当社市場開発部隊の出向実演などのご希望があればご連絡ください。

 

★追記関連情報★
2019/08/08:「濃色地Tシャツ用転写紙SB DARKのご案内【続編1】」をUPしました!
https://sanryunews.com/2019/08/08/sb_dark_toner_transfer_sequel1/

2019/09/04:「濃色生地Tシャツ用転写紙SB DARKのご案内【続編2】」をUPしました!
https://sanryunews.com/2019/09/04/sb_dark_toner_transfer_sequel2/

 

(株)サンリュウ 市場開発部一同【中西、今尾、熊谷】

TEL: 048-446-6786