シンプリシステムのご紹介

シンプリ(SimPri=Simple Print) 転写印刷システムのご紹介

株式会社サンリュウ

デジタル印刷非加熱転写システム、シンプリシステム (SimPri Transfer Print System)の紹介と解説記事です。

■シンプリシステムの転写原理

シンプリシステムは、転写シート上に形成された顔料画像層と接着層から成る二層を、被転写物へ転移して固着させる転写印刷システムです。

顔料画像層は、レーザープリンタなどのデジタル手法だけでなく、スクリーン印刷などの従来方式、あるいは手描きなどでも形成出来ます。接着層は、インクジェットプリンタを用いて、接着剤インクを画像層の上に形成します。

シンプリシステム画像形成用レーザープリンター

  (※システムの一例です)

転写シートとしては、陶磁器への無機顔料画像転写などに用いられてきたデカルペーパー(水転写紙)、水圧転写フィルム、ポリプロピレンやポリエチレンなどの非接着性の柔軟性フィルム、転写箔フィルムなどを用いることが出来ます。

画像層の上で未乾燥な接着剤インクは、粘着性を持っています。画像をキャリアシートから分離させられれば、被転写物側への転移は容易です。転写シートとして水溶性樹脂層を表面に持つシートを採用した場合なら、水分付与によって画像転写が可能になります。

転写作業は、転写機を用いての自動化、高速化をすることが出来ます。転写時の加熱や真空引きを必ず必要とはしないので、転写機等の設備を導入せず、手作業で転写を行うことも出来ます。

シンプリシステムを使った立体物への転写装置

■シンプリシステムの特徴

1)非加熱転写が可能
昇華インク画像の転写ではないので、染料がガス化するほどの高温をかける必要はありません。トナー画像層の直接転写ではないので、ホットメルト樹脂が溶けるほどの高温をかける必要もありません。

転写サイクルタイムを短縮するために低温で温める手法は有効ですが、室温での非加熱転写も可能です。耐熱性の低い素材への転写が可能です。但し、画像の被転写物への接着強度を高める目的の、後工程として比較的低温での加熱硬化処理は有効です。

2)立体物への転写も可能
転写シートとして柔軟性あるフィルムを採用して転写機で真空引きを行えば、平面への転写だけでなく、三次曲面を有する立体物への非加熱転写も可能です。

水圧転写のように転写シートを溶解させないので、画像変形の抑制と印刷位置制御が容易です。シンプリシステムは、昇華転写のように対象素材を限定しません。

UVプリンタでは困難なボトルネック部にシンプリシステムで転写

ワインボトルのボトルネック部分への転写例

3)幅広い素材に利用出来る
転写後の画像は、接着層を介して被転写物に固着します。接着層は、紙、木材、樹脂、金属、ガラス、陶磁器、ゴムなどの幅広い素材に強く接着します。

高温にしないので、耐熱性の低い素材にも転写出来ます。圧力をかけない転写手法も採れるので、加圧に対して脆弱なパッケージや発泡材への転写も出来ます。

紙箱と内容物の統括デザインも、シンプリシステムなら容易

化粧箱段ボールとマグカップへ同じデザインを使用

こちら(中央)は、↑ マグカップが化粧箱に入った状態

4)顔料画像の高い耐光性が得られる
顔料画像の耐光性が得られるので、自動車部品などの耐久商品への加飾に道を開きます。接着層は、屋外でも長期の接着力を維持します。建材加飾も道が開かれます。

有機顔料でなく無機顔料画像を転写すれば、焼成しなくても、屋外5~10年以上の耐光性を期待できます。

セラミックタイルへの施工例

シンプリシステムで、幅木タイル側面空白にも画像を追加

5)金属光沢の箔層や、粉体の転写も出来る
転写用箔フィルムに接着剤層を形成すれば、刻印版を作製しなくても箔層の転写が可能です。インクやトナーでは表現の出来ない金属光沢層が転写されます。

画像を焼成して固着させるガラスや陶磁器への転写であれば、接着剤インクに粉体を振り掛けて転写することも出来ます。金粉や特殊無機顔料粉から成るマーキングが出来ます。

背景の波デザインを金属箔で形成した例

  陶磁器タイルで鯉と波イラストにシンプリシステム使用

■従来手法との比較
シンプリ転写を、各転写手法と比較して表にしました。非加熱での顔料画像転写は水圧転写とシンプリシステムしかありません。転写位置を制御できる条件まで加えると、シンプリシステム以外はありません。

手法 〵 比較点 デジタルか? 3D印刷は? 位置出精度 耐光性 非加熱か?
スクリーン印刷 × ×
パッド印刷 ×
トナー転写 × ×
昇華転写 × ×
水圧転写 ×
シンプリ転写
インモールド転写 ×
TOM 真空転写 ×

以上

*無断複製を禁ずる。