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【トナー転写紙SB-DARK】マスクに転写してみた

新型コロナ新規感染者数の減少が続いています(※記事公開時点の2021.10月現在)が、まだまだマスクが手放せない日々が続きそうな2021年。当社にマスクへの転写でご相談があり、SB-DARK 転写紙を使ってテストしてみました。その結果をこちらの記事でご紹介いたします。

さっそく、今回のお悩みの概要です。詳細な条件は一部伏せさせていただいております。ご了承ください。

 

■転写対象物

濃色地(紺色)のウレタンマスク(ポリエステル95%、ポリウレタン5%)です。今回は、マスクの下の方に、背景色が白色のロゴマーク印刷をします。※この記事の添付画像はお客様のロゴマークそのものは省略し、正方形で背景色の白色をテスト印刷したものです。

(※記事公開時点の2021.10月現在では新型コロナに対する防御効果において、一般的なマスクでは不織布マスクが最も高い効果を持つとして各所から推奨されています)

(※オンデマンドでデジタルデータ画像を印刷するといった目的では、素材にポリエステルを含んだウレタンマスクが非常に有効で向いています。ですが、新型コロナ蔓延時においては、人がいる場所でウレタンマスク等を使用する場合は不織布マスク着用の上に重ねての使用が推奨されます)

 

■ご相談いただいたお悩み

<問題1> 転写後、生地に定着しづらい(転写面が剥がれやすい)
<問題2> 発色(転写翌日には変色したり、斑模様が出たり、色が沈む)

といったことが、他社のトナー転写紙を使用した転写で発生していたようです。そこで、当社のSB-DARK 転写紙で問題が解決できないか試してみました。SB-DARKは、他社転写紙とかなり違った特徴があるからです。

 

■解決しました!

結論から申し上げますと、無事、解決しました!

当社のSB-DARK 転写では、翌日の変色が起こりませんでした。5日間ほど放置しても問題は見られません。喜び過ぎて問題を見逃さないよう、さらに洗濯テストに進みました。こちらも合格しました!

どうやって解決できたのか。検証内容を簡単にご紹介します。

 

■手洗いと、洗濯テストを敢行

今どきですと、「ウレタンマスクの洗い方」などと、マスク洗濯に関する沢山の解説記事が見つかります。どうせなら、世間で広く行われている洗い方で試すのが良いと考え、二つの方法を採りました。

一つ目は、桶に水をはり、中性洗剤を溶かして 水、又はぬるま湯を入れ、マスクを浸し、押し洗いをする方法。こちらは、優しく洗えるからでしょうか、繰り返しても問題が起こりません。きついのは、もう一つの方でしょうか。

 

二つ目。洗濯ネットにマスクを入れて、口を締め、洗濯機に放り込みました。

使用した洗濯ネット

家で普通に使っていたネットです。

 

この二つ目の方は、ジーンズなんかと一緒に洗ったりしましたから、結構きついと思います。1日一回、10回の洗濯を終えて取り出して見て、うるうるでした。SB-DARK、お前頑張ったね。光沢仕上げをしておいた白色層も、ピッカピカのままではありませんか!

ここまでのテストで、お客様の環境における『<問題1> 転写後、生地に定着しづらい(転写面が剥がれやすい)』は、転写紙の問題であり、SB-DARK転写紙はクリアしている、と判断いたしました。

 

 

■解説です

1.過剰転写条件での検証

変色の原因が、生地を染めている染料の再昇華現象(*1)と仮定して、わざと再昇華を促進させるためのテストを行ってみました。

 

過剰条件転写

通常より長い時間の加熱圧着/白地がピンク色に変色

 

SB-DARK 転写紙を用いて用意した糊付画像を、180℃40秒の過剰条件でマスクへ転写しました。白地部分への再昇華現象が確認され、白地がピンク色になりました。

 

(*1)再昇華現象
マスク生地は、染料を生地の中に浸み込ませて染めています。染料は、生地に浸み込んだ後でも、加熱されると蒸発して再び動き出します。生地に転写シートを加熱圧着すれば、転写された画像の中にも染料が浸み込んでしまうのです。白色の画像でしたが、今回は紺色に染まってしまいました。

 

転写後の放置変化

10日程度で、シミのような変色が現れました。

 

ここまでのテストで、お客様の環境における『<問題2> 発色(転写翌日には変色したり、斑模様が出たり、色が沈む)』を、SB-DARK転写紙でも再現することができた、そしてその問題は再昇華現象である、と判断いたしました。後はこの問題さえクリアできれば、SB-DARK転写紙の使用でお客様のお悩みを解決できそうです。

 

 

2.再昇華を防止するための手法

ロゴマークだけなら、ホットスタンプと言う手法もあります。ただ、デジタル画像転写には、不向きです。トナー画像を転写したいものです。

再昇華問題を回避する対策としては、再昇華防止膜を画像の下に挟む方法があります。ただし、これは、手間もかかり、コストもアップしてしまいます。画像の部分だけに付着させるのも難しそうです。

SB-DARK 転写紙ならの奇策があるのでしょうか?はい、実はあるんです。

 

3.SB-DARK マスク転写法

SB-DARK 転写紙で、以下のようなサンプルを作成しました。

A. 1秒熱圧着サンプル
B. 2秒熱圧着サンプル
C. 3秒熱圧着サンプル

「え?」と驚かれたでしょうか? 再昇華を防ぐなら、熱をかけない事です。しかし、通常のABシート突合せ型のトナー転写紙では、この条件は不可能です。画像をマスクに転写出来ないからです。SB-DARK 転写紙ならOKです。1秒熱圧着後のベース紙剥離も、不良率ゼロで出来ます。

通常のTシャツ転写で転写後に必要とされる再プレスも、加熱を伴います。これも省略してしまいました。ですから、もっとも短い加熱時間のサンプルは、1秒加熱で作成しました。

 

1秒熱圧着

新品同様に驚くほどきれいです。光沢も完璧に残っています。

 

■洗濯テストの結果詳細

A. 1秒熱圧着サンプル
B. 2秒熱圧着サンプル
C. 3秒熱圧着サンプル

実は、再昇華現象は、洗濯しなくても進みます。転写後に10日程度放置すると、所々に浸みのような斑点が現れたりします。上記3種サンプルは、10日後も、真っ白のままでした。優秀です。そこで、10回の洗濯テストに入りました。3回、4回と繰り返すうちに、B,Cサンプルにはピンホールのように小さな斑点が数か所現れました。6回、7回…。Aサンプルは未だ真っ白のまま、ついに10回目が終わりました。

これ以上の洗濯は、使い捨て商品には意味がないと思ってのストップでした。Aサンプルには、画像の脱落も、浸みの発生も無く、光沢も変化無しでした! 熱圧着時間の短縮が効果的であることが、よくわかりました。また、洗濯ネットのおかげでしょうか、画像のマスクへの接着強度も全く問題ありませんでした。

 

■まとめ

問題のご相談を頂いたお客様には、その後SB-DARK 転写紙をご購入いただきました。

弊社ではこのように様々なご相談を請け、社内でも検証しています。今後も、お客様に共有したいと思った情報を発信してまいります。SB-DARKをすでにご使用中の方もそうでない方も、何かお困りのことがあればぜひお気軽にご相談ください。