【特許申請済】円筒物転写装置のご紹介

 

今回から、いよいよシンプリ転写技術のご紹介を開始します。

第一回は、円筒物転写装置(特許申請済)の中の小型機種である、印鑑転写装置です。


円筒物転写装置(OGBS 2019展示会出展機種)

 

 

1.シンプリの本格的広報開始

シンプリ転写は、立体物へ手作業でも画像を転写出来る手法です。

当社は、基本技術部分のインクジェット接着剤インク、転写印刷手法、転写物、に対する特許を取得済です。世界でもオンリーワンの技術です。Simple Print & Transfer Systemを短くして“シンプリ転写印刷”と命名しました。

◆シンプリ・システムについての詳細は下記URLにて
https://sanryunews.com/2017/05/18/jetnews_simplisystem_heatlesstransfer/
https://sanryunews.com/2018/02/06/simprisystemtipsandintro/

市場に類似技術(立体物への接着層付きトナー画像転写)はあります。

日本では二社が営業的に先行していましたが、一社はこの類似商品の販売を停止したようです。
私どもに入って来る情報では、これらの会社の商品の密着強度が弱いというものです。これは困ります。
市場が、「この類の技術は耐久商品には使えない」という誤った判定をしてしまうことを私どもは恐れています。

私どもは、シンプリ転写を耐久商品への転写印刷でも使用できる手法と伝えたいのです。シンプリ転写技術に関する情報発信を本格的に開始するのは、このような背景があるからです。

 

2.円筒形状物への転写

当社の独自技術に対して、これまで個人の方の芸術作品創造から上場企業の先端商品開発まで、さまざまなお問い合わせをいただいてきました。

その中の一つの形が、円筒形状物です。
実際の商品は、カップ、ボトル、ボトルキャップ、水筒、ペン軸、自転車フレーム、箸、歯ブラシ、チューブ等々、対象転写物は多岐にわたっています。

出展展示会がOGBS展(スタンプ、ウェアプリント、オーダーグッズ)だったので、今回選んだ転写対象物は印鑑でした。本装置で、印鑑だけでなく直径30mm程度までの箸、歯ブラシ、ローソク、ペン軸、円筒容器、試験管、などの様々な円筒形状物への転写が可能です。

印鑑へのシンプリ転写は、もちろん手作業でも可能です。


手作業での印鑑側面へのシンプリ転写

まず、画像と接着剤インクを形成済の転写紙を印鑑へ巻き付けます。巻き付け作業のテーブルにはゴムのクッション材を敷いておくと作業が容易です。
次に、転写紙背面から水分を付与して転写紙ベースシートを剥離すれば転写を完了できます。
これで通常は問題ありません。唯一の問題は、360度回した後の、画像のつなぎ目です。

転写紙には厚さがあります。この転写紙の巻き終端が開始点の転写紙の上に被さります。この重なった部分に転写紙が密着できない空洞が出来るので、画像にはどうしても線状の空白が現れます。転写紙が重ならないよう、そして短くならないように長さ方向を正確にカットしておくのは大変難しいです。あくまでも手作業での転写にこだわって、この問題を解決するなら、転写紙ベースシートを残して、画像だけをピックアップする手法です。

 

3.画像だけをピックアップ(湿式接着転写手法)

転写紙を印鑑へ巻き付ける手法は、乾いた転写紙を転写対象物に接着させる、言わば乾式接着転写手法です。
湿式接着転写手法では、接着前に転写紙に水分を与えておきます。こうすると画像は、水溶性層の上に浮いた遊離状態になります。転写紙の上を円筒形状物が転がれば、画像だけが円筒形状物側面に付着します。先端部画像の上には、後端部画像だけが被さります。厚い転写紙の重なりでなく、薄い画像層の重なりなので画像つなぎ目に空白線は現れません。

では、この湿式接着転写手法なら、印鑑転写も問題無いのでしょうか?
「Yes!」と言えなくはないのですが、残念ながら完璧ではありません。

 

4.印鑑転写装置(OGBS展示会出展機種)

湿式接着転写手法での問題は、転写紙の上で円筒形状物を転がすのが意外と難しいことです。

濡れた紙の上なので、円筒形状物であっても転がるだけでなく滑ることがあるのです。
転写結果が作業者の熟練度に影響を受けそうです。もう一つの問題は、画像が踊り易いことです。踊るとは、水に浮いた小さな分離画像が互いに離れたり、角度が変わってしまったりすることです。

これらへの対策として、印鑑を回転移動させる時の送り速度、転写紙への押し付け圧を初めから終わりまで安定させること、転写紙の事前の水分付与量も一定化させることが必要と考えました。このような考慮から印鑑転写装置が生まれました。

エア駆動などの自動化は容易ですが、今回は手動機です。操作は、次のような手順になります。

1) 画像/接着層を形成した転写紙を位置出しクランプに挟む
2) クランプに挟まれた転写紙背面に水分付与
3) 転写紙を挟んだ位置出しクランプを装置にセット
4) 印鑑を転写紙のうえ所定位置にセット
5) 装置のハンドルを倒してストッパに当てて水平位置で印鑑を挟む
6) ハンドルを水平方向に押して印鑑の回転移動開始
7) ハンドルを引き上げて印鑑を開放。装置から取り出し

装置のサイズや重量、処理能力など、詳細はこれから確認を進ます。まだ公表できるレベルにありません。最終仕様決定後に発表させていただきます。

 

5.円筒形状物転写の広がり

シンプリ基本技術部分の特許を取得済であることは、冒頭に記しました。この円筒形状物(印鑑)転写装置も特許申請済です。


シンプリ転写したガラスボトル

現在も、様々な円筒形状物への転写に関してお問い合わせを頂いていますので、まだまだ当社の開発は続きます。

 

 

ご興味ございましたら、ぜひお問い合わせください。

株式会社サンリュウ
市場開発部
TEL:048-446-6786

 

号外2号!濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内

 

濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKの号外2号です!


↓ ↓ ↓ これまでのシリーズ記事を是非ご覧ください ↓ ↓ ↓

◆濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARK シリーズ4記事
1)19/05/31 UP:濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内https://sanryunews.com/2019/05/31/sb_dark_toner_transfer/

2)19/08/08 UP:濃色地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内【続編1】
https://sanryunews.com/2019/08/08/sb_dark_toner_transfer_sequel1/

3)19/09/04 UP:濃色地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内【続編2】https://sanryunews.com/2019/09/04/sb_dark_toner_transfer_sequel2/

4)19/09/13 UP:号外!濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内https://sanryunews.com/2019/09/13/sb_dark_extra_news/

 

きりが無いので、本稿でSB-DARKの紹介シリーズは完結とします。

今回も大変嬉しいお客様からのお知らせだったので、我慢しきれず投稿しました。
前回同様、本稿も詳細までは書かないことを条件に、お客様の許可を得て発表するものです。

 

◆年間数千着のTシャツ印刷を行う、プロ中のプロ!
お客様は、1000~2000枚のオリジナルチームTシャツ印刷を年に2~3回請けていらっしゃる会社です。三年以上前に、当社の濃色生地Tシャツ用転写紙 TC DARKにお問い合わせを頂いて以来のお付き合いです。

ただし、その時も、その後も同じですが、当社商品は不採用になっています。今回は当社特許商品のSB-DARK転写紙へのお問い合わせを頂きました。


◆今回は違った当社の対応

お客様は、当社商品を採用しませんが、お聞きすればいつも快く色々なことを教えて下さいます。驚かされることは、国内だけでなく、海外メーカーにも直接コンタクトされて、サンプルなどを求められていることです。

ですから、世界中の商品をご存じで、実際に各社の商品を取り寄せて比較テストをされ、詳細情報をお持ちでした。そのお客様からの久しぶりのお問い合わせですから、当社も真剣にお聞きしました。
「採用になるためには、何をクリアしなければならないか?」です。サンプル送付前に、それを社内確認するためです。


◆ABペーパーに求める要望

お客様から届いた回答は下記でした。

1.失敗しないでシートが簡単に作成できるシート
2.シート品質の安定(糊にばらつきがあるので)
3.ABシート作成時の秒数(40~50秒程度)、Tシャツ転写時の秒数(10秒程度)
4.堅牢度
5.トナープリンターとの相性(紙が滑るのでトナーがのりにくいため)
6.シートの単価(日本は高いように感じます。)

当社が捉えた絶対条件は1番の「失敗しないでシートが簡単作成」でした。
3~6番は自信があります。1番をクリアするため、お客様から確認用の画像を送っていただきました。そしてサイズはA3です。そして密かに設定した目標が不良率0%でした。

SB-DARK更新情報【続編2】で発表した不良率0%は、このお客様のご要望にお応えしようとした結果でした。


◆100枚のご発注をいただきました!

発表前の更新情報記事を添えて、私どもの社内テストで作成したサンプルと、ご自身での確認用ABシートをお送りすると、下記のような一報が入りました。

【ABシート作成時のお客様からのご感想】
・作成の秒数が20~30秒と早い
・ベタ面全く問題なく、素人でも糊付けが簡単(正直半信半疑でした)
・ベタ面部分の糊の硬さも許容範囲内で全く問題なし(この時点で間違いなく売れると思います)

更にこのようなお言葉も!

『結論から言うと、私が知る限りのSelf weeding paperの中で ABシート作成時、堅牢度は1番いいかもしれません。勿論、継続的に使用しないと糊のロットムラによる不良や洗濯堅牢度、プリンターの相性はわかりません。1枚しか試してないですが、貼り付けた後の糊の硬さ(風合い)や引っ張った際の糊の伸縮は素晴らしいです。』とのことです!

一枚の試作でここまで判定されるお客様のご経験の深さに驚かされますが、お世辞に終わらず、100枚のご発注を頂きました。さらに確認テストを進められることと思います。


◆お客様とともに発展して行きます

前回もそうでしたが、このお客様ともこれから末永くお付き合いいただけるのではないかと期待しています。お客様のご経験から、当社が学ぶことがたくさんあります。いろいろと教えていただこうと考えています。
そして、共に妥協せず、より良いものを追及して、互いに発展して行けたらと思います。

当社は営業力が無い分、技術開発に注力する会社です。この号外記事を読まれた方で、当社がお役に立てそうな案件がありましたら、遠慮なくご相談をお寄せください。

不十分かも知れませんが、今回のトライと同様に、真剣に取り組ませていただこうと考えています。

 

 

号外!濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内

更新ニュースの本シリーズは、三本目の「続編2」で完結予定でした。

◆濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARK 本シリーズ3記事
1)19/05/31 UP:濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内https://sanryunews.com/2019/05/31/sb_dark_toner_transfer/

2)19/08/08 UP:濃色地Tシャツ用転写紙SB DARKの1ご案内【続編1】
https://sanryunews.com/2019/08/08/sb_dark_toner_transfer_sequel1/

3)19/09/04 UP:濃色地Tシャツ用転写紙SB DARKの1ご案内【続編2】https://sanryunews.com/2019/09/04/sb_dark_toner_transfer_sequel2/

 

しかし、嬉しいニュースが届いたので、早速「号外」としてご報告することにしました。

本稿は、詳細までは書かないことを条件に、お客様の許可を得て発表するものです。

 

◆トートバッグへのSB DARK転写紙トライ
本シリーズの記事をご覧になったお客様から、SB DARK転写紙を早速使ってみたいとご連絡いただきました。

お持ちのプリンターは、白トナーと黒トナーを差し替えて使用する4色プリンターでした。転写物はトートバッグです。既に、エンドユーザーにはプリンター購入先の提供する転写紙を用いてサンプル提供まで終えていらっしゃいました。

しかし、取引商社の同類転写紙の価格が高く、印刷しなければいけない画像が非常に精度を求められるもので不安をお持ちだったようです。実際、画像に入っている最も小さな文字は、高さ1mmもありません。

 

◆自慢の迅速な当社の対応
普段は決して迅速とは言えず、お叱りを受けることの方が多く、自慢は今回だけです。

お客様から「至急使いたい案件が1件」あると訴えられましたので、当社からは当日、ご指定の画像の転写済バッグ生地サンプルを作り、問題無く出来ることを確認して、サンプルの写真をお送りしました。
これを確認されたお客様から、「良さそうだ」ということで、早速SB DARK転写紙50枚のご注文をいたただきました。もちろん、作業マニュアルも一緒にお送りしました。宅配便なので翌日着です。

そして、その翌日、商品発送からの二日後、お客様から「上手く行った」というご報告と新たに100枚のご注文を頂きました。

 

◆お客様の不良率
お客様はプレス機を相当数所有され、豊富な転写経験をお持ちのようです。
今回はA4サイズ転写紙25枚分を転写されました。お聞きすると、6、7枚の失敗があったとのことでした。これは各社の異なるプレス機で異なる条件でトライしたためとのことです。

今は作業のコツをつかみ、マスターしたとの自信のお言葉がありました。大変うれしいご報告でした。

 

◆お客様とともに発展していきます
SB-DARK転写紙からは少し離れたお話です。

今回のお客様とはこれからも末永くお付き合いいただけるのではないかと期待しています。お客様のご経験から、当社が学ぶことはたくさんあります。

当社の研究開発テーマは、すべてお客様から頂いてきました。これからは、さらに意識して情報交換に努め、お客様との間の関係を強めていこうと考えています。

その先には、当社のような研究開発会社、素材・装置の販売会社、営業力ある商社、印刷加工を請
ける出力会社までにまたがる提携グループを作り、協業で商売を発展させていく考えがあります。時代の変化スピードが上がり、投資リスクが高まっている中では賢明な手法と考えています。

提携グループへのアイディアなどは気軽にお声をかけて下さるようお願い申し上げます。

 

 

今回の件に限らず、お客様からの貴重なご意見・ご要望、ご報告は、どんなに些細な事であっても、当社にとって大変貴重で大きな財産となり、今後さらに邁進するための力となります。

是非、お気軽に当社までお問い合わせ下さい。

 

濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内【続編2】

 

出ました、不良率ゼロ%!

SB-DARK転写紙の不良率確認テストを終え、これをご報告する紹介記事【続編2】をまとめましたので掲載します。

 

本稿に関連する過去に掲載した記事も、ぜひご覧ください!

◆本稿関連記事情報
・19/05/31 UP:濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内https://sanryunews.com/2019/05/31/sb_dark_toner_transfer/

・19/08/08 UP:濃色地Tシャツ用転写紙SB DARKの1ご案内【続編1】
https://sanryunews.com/2019/08/08/sb_dark_toner_transfer_sequel1/

 

SB DARK転写紙は、抜ける転写紙、No-Cut転写紙、縁なし転写紙、カッティング不要転写紙など、さまざまな名称で呼ばれるAB両シートを用いた濃色生地への転写用セルフウィーディング型転写紙です。

これまでご紹介してきたように、その品質と作業性は、各社各様です。しかし、お客様の声を総合すると、品質の他にも重要な三つのポイント、「不良率、作業性、価格」があるようです。今回はその中の不良率について社内確認テストを行いました。


SB-DARK転写紙で作成したTシャツサンプル

 

※(注
最初にお断りしておきます。ここに発表するデータと作業条件は、あくまでも今回の当社社内のテスト結果に拠るものであり、保証値ではありません。今後変更することもあり得ます。良否判定は、当社社内基準に拠ったものです。難易度は、転写する画像の形状にも影響を受けます。発表データは、皆様が商品を選択される際のご参考に提供するものとご理解ください。

 

◆難しいのはA3サイズ、画像はベタ

工程の中で各社共通しての最大の難所は、白色接着層をBシートからAシート画像上にしっかりと転移させる工程でしょう。上手く行かないと、Bシート台紙が破れる、白色接着層が画像輪郭で切れずにはみ出してカス部として残る、画像輪郭部に白色接着層が付かない、画像が白色接着層側に移ってしまうなど、様々な問題を引き起こします。ご経験のお客様も多いのではないでしょうか。これらの結果には温度が大きく影響しています。ですから作業がより手間取る大きなサイズ、A4よりはA3サイズの転写の方が難しいのです。

「A4サイズでお試しの上ご注文」と注意書きをしているメーカーサイトがある理由です。

画像は、ベタ画像、極太文字画像が難しく、転写不良が出易いことも確かでしょう。AB両シートを熱プレス機で押し付ければエア溜りが出来易いことは前回の続編1に記しました。又、大きなベタ部は白色接着層の転移面積が大きいので、Bシートの剥離に力が要ります。これが、作業難易度を上げるのです。この力を最小限に抑えるには、白色接着層が柔らかくなる温度範囲で剥離作業をすることが必要になります。また、精細な画像の場合は、接着層のめくれや脱落が起こり易くなります。

 

◆当社テストは、過酷なA3サイズ、極太文字と精細画像

さて、当社のテストには、難しいA3サイズで、Tシャツ画像としてよくありそうな極太文字画像と細い線のある精細な画像の二種を試しました。当社は、そんな会社です。マニアックで、難しいものに好んで挑戦します。取り組んだ分野では、日本一、世界一を目指します。ですから、世界特許まで取得します。

話がそれますが、当社開発の食品用プリンタは海外輸出まではじめています。そんな当社ですから、目指したのは不良率ゼロです。ただし覚悟として、他社と同様な手作業で不良率ゼロを実現できなければ、何か補助治具を考案するという考えは持っていました。この補助治具無しに、不良率ゼロにはたどり着いたのですが、末尾にこの考案した補助治具もご紹介します。

 

【使用した画像と作業条件】
当社テストは、下記の条件で行いました。

◇プリンタ:白トナー搭載プリンタ・型式 Pro8432WT(CMY+Wの4色機)

◇転写紙:SB DARK転写紙(特許申請済)  サイズA3

◇プレス機:Insta社手動機、ShockLine社エア駆動機

◇転写条件:テーブルプレヒート10秒 AB両シート圧着・剥離
●Insta機使用 → 170℃×30秒(女子A)
●ShockLine機使用 → 170℃×20秒(女子B)

◇生地転写:150℃×2秒

◇再プレス:150℃×20秒

◇作業者:当社市場開発部 女子A10枚連続作業、女子B10枚連続作業

◇画像:画像①極太文字、及び画像②精細イラスト


画像①極太文字


画像②精細イラスト

 

【作業詳細】
AB両シートの熱圧着では、画像が長方形の大きな完全ベタではなかったので、ラミネータ―は使用しませんでした。他社の多くが熱圧着を120℃~155℃程度に設定していますが、これを170℃と高温に設定しました。理由は作業時間を短くしたかったからです。170℃程度の圧着なら、白色接着層がAシートの非画像面に接着することはないだろうという予測で、これはその通りでした。温度と時間を変えた作業条件もあり得ます。A4サイズなら、155℃程度でも十分でしょう。

なお、生地へのプレスの際に170℃という高温を避けたいなら、設定温度を150℃に変えても構いません。当社取り扱いのシリコンスポンジシートを被せれば20℃程度下がるので、AB両シート熱圧着の設定温度170℃のまま生地プレス作業を継続も出来ます。

AB両シートの剥離はホットピールです。プラテンを横へ移動した後、Bシートの縁を捲りあげて、Aシートの先端はテーブルからわずかに引き下ろして、作業者のお腹とテーブル手前側の間に挟みます。Aシートを動かないよう押さえたら、Bシートを両手で持って転写機奥側に向かって引き剥がして行きます。水平のテーブルに対してBシートを引き剥がす角度は0度が推奨です。これは各社共通のようです。角度が付くと、Aシートがテーブルから浮いて温度が下がってしまい、転写不良が多発します。テーブル奥側最後の方では移動後のプラテンに触って火傷しないよう注意は要ります。


A・Bシートの剥離作業(作業者からテーブルを見下ろした写真)

 

◆不良率ゼロ%をPRするのではありません

もちろん、不良率ゼロ%で商品を販売するメーカーは無いでしょう。これは当社も同じです。

今回お伝えしたいのは、難しいと言われているA3サイズの連続転写に挑戦して、二人(市場開発部ベテラン女子社員、入社後半年の新人女子社員)が同じように10枚連続転写を失敗無しで終えられたことです。A3サイズ太文字転写、精細画像転写も恐れるものではなさそうです。A4サイズの転写や、画像のまばらなA3サイズ転写などの作業は非常に容易なものになるだろうということも、ここから想像できるのはないでしょうか。

 

◆秘密兵器のご紹介

最後は秘密兵器の補助治具についてです。写真は、Insta社プレス機に取り付けたものです。

Aシートをお腹で挟むのが難しかったり、テーブル奥までBシートを捲るのが難しいという場合は、このようなものを用意して確実にAシートをテーブル側に押し付け、Bシートを手前側に引っ張ろうと考えていました。このような冶具があれば体の小さなひ弱な作業者でも容易に作業できるはずです。上記のように、お腹を使った手作業(腹作業?)で不良率ゼロを達成してしまったので詳細の紹介は省きますが、これはなかなかの優れものです。この治具にご興味の方はお問い合わせ下さい。

 

◆最後に

ここで、プレス機の温度について注意を記します。私どもが使用した二社(Insta社、ShockLine)のプレス機で170℃と同じ温度に設定しても、実際温度はShockLine社プレス機の方が5℃ほど低いようです。このように、各社の温度表示が必ずしも実際のプラテン温度と一致しているとは言えませんので、貴社の所有機での最適転写条件は、貴社にて必要なテストを行って確認して下さい。

 

では、皆様のSB-DARK転写紙ご採用の時にも期待通りの成果が出ますよう願いながら本稿を終了させていただきます。

 

 

【弊社可食プリンター出展】IBIE 2019のご案内

IBIE 2019 in Las Vegas が間もなく開催されます!

◆IBIE 2019
https://www.ibie2019.com

International Baking Industry Exposition は、3年に1度アメリカのラスベガスで開催されるパンや菓子などの製造技術など最新のイノベーションが発表される国際展示会です。

世界中から多くの企業が参加し、最新のパンや菓子の製造技術、原材料やパッケージなど最新のトレンドを詳しく知ることができる場となります。

 

◆弊社出展可食プリンター
・ラインプリンター IL-168
・アイスコーンプリンター
・小型フラットベットプリンタ―

※弊社可食プリンターページ
https://www.sanryu.com/print/flatbed02.htm

◆日程:2019/09/08~11 4日間

◆会場:ラスベガス・コンベンションセンター (Las Vegas Convention Center)
https://www.lvcva.com

 

ご来場される方は、ぜひ弊社にご連絡ください。

 

濃色地Tシャツ用転写紙SB DARKのご案内【続編1】

 

前回の記事に多くの反応をいただいているようなので、続編を掲載することにしました。

◆前回記事(19/05/31更新分)
濃色生地Tシャツ用転写紙SB-DARKのご案内https://sanryunews.com/2019/05/31/sb_dark_toner_transfer/

 

今回は、AB両シートを用いた転写における各種問題についてより詳細に記してみます。
引き続き、受像紙をAシート、白糊層を形成した糊層転写紙をBシートと呼びます。

皆様が抱えていらっしゃる問題は、下記のようなものになるでしょうか?

1)細部の転写が出来ない
2)商品価格が高い
3)作業性が悪い
4)不良率が高い
5)商品取り扱いに注意が要る

こうした問題に対し、『その問題、ここが違う!』とし、続編では、よりご理解いただけるようご説明いたします。

 

なお、本稿での転写結果等に関しては、全て当社社内テストによる結果です

◆1)細部の転写ができない

SB DARK転写紙採用なら、1)の細部の転写については問題が解消し、小さな点部まで再現できることを前回記事最後部に転写サンプル写真を添えてご紹介しました。

今回は、実際に競合C社転写紙との比較です。

上の写真が競合C社転写紙を用いた、当社社内転写テストの結果です。
下の写真の当社SB DARK転写紙結果と一致しない箇所があります。


競合C社転写紙の転写結果


当社SB DARK転写紙の転写結果

左方に垂直線が並んでいますが、競合C社転写紙の方は垂直線の間に白っぽいべた線が見えます。丸べた下方にもつながった何かが付いています。これがカスと呼ばれているもののようです。セロテープなどで剥ぎ取れば除去できるのですが、なかなか面倒な作業です。さらに丸べた自体はどうなっているでしょうか?青丸一個が脱落し、赤丸一個が半分に欠けています。因みにこの丸べたの直径は1mmです。一方のSB DARK転写紙の転写結果には、これらの問題は見つけられません。

この差を生む原理については、未公開特許なので前回は説明を控えさせていただきました。今回は少しだけ追加説明します。秘密は受像紙にあるのです。添付写真をご覧ください。


各社Aシート上の画像剥離テスト結果

Aシートに載っている画像の碁盤目剥離テストを行ったものです。Aシートは4種類並べました。左から、競合メーカーのAシート(フィルムF1)、競合メーカーのAシート(紙P1)、私どものTC DARKのAシート(紙P2)、そしてSB DARKのAシート(紙P3)です。セロテープの粘着力で引き剥がされますが、碁盤目部分の画像は、F1とP3の上だけは残りました。P2、P3は、碁盤目部分以外も脱落しています。皆様も、お使いのAシートを使って同様の確認をしてみて下さい。

セロテープ碁盤目剥離テストでAシート上に画像が残るということは、白色接着層をBシートからしっかり受け取れるということになります。SB DARK転写紙で小さな点まで再現できる理由の一つがここにあるのです。

もう一つが、画像部の生地への転写です。生地に熱プレスで圧着されたAシートを剥がそうとすると、生地が伸びたりします。SB DARK転写なら、生地が引っ張られることは全くありません。白色接着層を受け取る時と異なり、生地への転写時には画像が容易に剥がれるからです。これも、小さな点まで剥がれることなく生地転写出来る理由の一つです。

 

◆2)商品価格が高い

次は、2)の商品価格です。皆様ご不満をお持ちのように、各社いずれも安くありません。まとめて発注量を増やせば値引き販売はあるのでしょうが、A3サイズのAB両シートセット定価は下記のような範囲のようです。
これだけの大きな価格メリットが得られるなら、問題解決ではないでしょうか?

競合A社    720円
競合B社    800円
競合C社   620~720円

当社TC DARK  460円
当社SB DARK  460円

 

◆3)作業性が悪い

3)の作業性の評価ですが、Tシャツ転写の標準的なワンステップ転写紙と比べると、作業時間がかかるのは否定できません。AB両シートを使った白色接着層の転写作業が入るので、改善程度に限界があると言わざるを得ません。上記各転写紙を用いた転写作業の所要時間は、下記のようです。推定時間は、各社のHPやマニュアルの中から算出したものであり、当社の理解に誤りがあれば申し訳ありません。ご指摘頂ければ修正します。

所要時間比較 接着層転写  生地へ転写  再プレス  合計時間
————————————————————————————————-
競合A社     45秒      5秒    20秒    70秒
競合B社     90        30    10-30    130-150
競合C社      20-30       20       15         55-65
当社TC DARK     80       22       10       112

これらに対して、皆様のご期待に応えられるかどうか、SB DARK転写紙における作業性のチェックも行いました。下記が、所要時間結果です。作業性は、接着層転写、生地へ転写、再プレス、の合計時間が最短となり、業界最高レベルと成りました。なお、使用設備などで差が出ることも考えられるので、保証値ではありません。

所要時間比較 接着層転写  生地へ転写  再プレス  合計時間
————————————————————————————————-
当社SB DARK    20秒      3秒    20秒    43秒

 

次に、転写工程も記します。さらに、皆様に役立つと思われる作業における様々なワンポイントアドバイスを並べてみました。

①OKI白トナープリンタで受像紙に画像印刷
②ラミネータ―でAB両シートを接着
③プレス機で熱をかけてからBシート剥離・白色接着層の転移
④プレス機で画像部の生地への転写
⑤プレス機で再プレス

<ワンポイントアドバイス>
①OKI白トナープリンタを使用する
当社は販売するべきかどうか検討のため、国内外各社のプリンタ、低価格白トナーなど、様々な商品の品質確認を行ってきました。結論は、計画を全て放棄した上での、OKI白トナープリンタの発売でした。

白トナーの濃度が違います。低価格プリンタをお買いになって、白トナー、黒トナーを入れ替えての二回通しは手間です。紙の熱収縮があり、印刷位置もずれます。お勧めできません。OKI白トナープリンタ販売元となった当社は最低価格でご提供できます。ぜひご検討下さい。

②ラミネータ―でAB両シートを接着する
Aシートに載った画像部も、Bシートの白糊層も表面はいわばフィルムです。熱プレスで押し付ければエア溜りが出来易いです。圧力を強くしてもそれが小さくなるだけで、転写不良の原因になります。小さな柄が散在する画像の場合はエアを閉じ込めるリスクは少ないのですが、べた面積が大きい場合は問題です。ホットラミネータ―で空気を追い出しながらAB両シートを圧着することを勧めます。この原理は各商品共通と考えています。


ラミネーターでAB両シートの圧着がお勧め

③カス取り作業
競合転写紙の中には、白糊層の転写が不完全で、画像輪郭部に余分な白糊層がはみ出してカスとなるものがあることを本稿の冒頭で記しました。このカス取り作業についての説明が商品マニュアルに記されているということは、異常なことではないのかも知れません。
SB DARKではこの作業はありません。

④画像の割れ、その他
生地の洗濯後に画像の割れが現れたり、画像一部の脱落が出易い転写紙もあります。割れは、白糊層の性質に大きく起因すると考えています。割れ問題でお困りの場合は、商品の切り替えをお勧めします。季節や、転写条件の差、あるいは商品の劣化によるものなのでしょうか、Aシート印刷時にべた部に色むらが発生し易いものもあるようです。私どもがテストしたAシートは、乾燥させたり、プリンタの用紙設定を厚紙に選び直したりしましたが問題を解消できませんでした。添付写真のようにAシート上の画像色むらは、生地への転写後も残るようです。


Aシート上画像色むらは、生地転写後も残る

 

★4)不良率が高い

さて、いよいよ、不良率の高さについてです。ここに大きく関わるのが、AB両シートの剥離作業の難易度です。
説明が長くなるので、本稿はここまでにして、次回の続編2で詳細させて下さい。
確かなご説明が出来るよう、社内データ取りを進めます。次回更新情報記事をご用意するまで、少し猶予を頂きます。

 

それでは、次回【続編2】までお待ちください!

★追記関連情報★
2019/09/04:「濃色生地Tシャツ用転写紙SB DARKのご案内【続編2】」をUPしました!
https://sanryunews.com/2019/09/04/sb_dark_toner_transfer_sequel2/

 

【弊社出展】OGBS 2019のご案内

 

2019年9月20日(金)~21日(土)に東京・池袋サンシャインシティで開催される『オーダーグッズ・ビジネスショー2019』に出展いたします。

オーダーグッズ・ビジネスショーとは、ハンコやスタンプ・ウエアプリント・オリジナルグッズなどに関連する商材や機器が一堂に集まる展示会です。

※OGBS 2019の詳細情報は下記URLへ
http://ogbs.jp/

 

特許申請中の新商品『トナー転写紙SB-DARK』をはじめとした下記の弊社商品を展示予定です。
※展示内容は変更する場合がございます。あらかじめご了承ください

【弊社展示予定内容】

◆トナー転写紙 SB-DARK(濃色地向け“抜ける”転写紙)
細かな画像も表現可能な特許申請中の新しいトナー転写紙

関連ページ
https://sanryunews.com/2019/05/31/sb_dark_toner_transfer/

◆シンプリ・システム(非加熱転写システム)
熱をかけられない素材への転写を実現する非加熱転写システム

関連ページ
https://sanryunews.com/category/simplisystem/

◆白トナー搭載プリンタ OKI Pro8432WT
SB-DARK、シンプリ・システムでご使用いただける白トナープリンタ

◆エア駆動熱プレス機 MA AIRMOD P1型
エア駆動で高圧力も楽々。作業性をアップさせる熱プレス機

関連ページ
https://sanryunews.com/2019/06/20/shockline_ma_airmod_p1/

 

【出展ブース】
展示ホールD(文化会館2F)、ブースNo,36(株式会社サンリュウ)

 

弊社の展示予定内容にご興味ございましたら、是非ブースにお越しください。

 

ITMAショーで発表された新商品紹介1

 

スペインのバルセロナで6月20~26日の期間に開催されたITMAショーより弊社社員が得た情報の中から、新商品をご紹介いたします。

※ITMAショー詳細(2019/5/13更新記事「ITMAショー視察に出かけてみませんか」)
https://sanryunews.com/2019/05/13/itma_show_2019/

 

弊社が取り扱っている転写紙メーカーのColdenhove社は、綿やナイロンに加飾できる顔料インク用の転写紙「TEXCOL」を発表しました。

◆TEXCOLのサイト◆
https://www.coldenhove.com/products/texcol/

今まで綿には反応染料を使った染色や捺染顔料を使った印刷がメインでした。どちらも前後処理が必要で手間がかかり敬遠されてきました。

今回Coldenhove社が発表したTEXCOLは、捺染顔料インクでTEXCOLに印刷し、熱処理機で190℃/45秒の処理を行なうだけです。綿へ前処理や洗浄作業が必要ありません。短時間の熱処理なので輪転機を使ったRoll to Rollにも対応できます。

綿、ナイロン以外に、ポリエステルにも可能です。耐光性が求められる屋外設置の用途に使用できます。

Coldenhove社は世界中の販売店の中の数社から販売をスタートします。弊社は販売可能な販売店になりました。

サンプルが到着次第、テストをお受けいたします。

ご興味のある方は、弊社にご一報ください。

 

弊社開発フードプリンターの近況3

 

2019年7月9日(火)~12日(金)に東京ビッグサイトで開催される『FOOMA JAPAN 2019 国際食品工業展』に出展いたします。

FOOMA展とは、食品機械・装置および関連機器に関する技術ならびに情報の交流と普及をはかり、食品機械の最先端テクノロジー、製品、サービスをを提案する展示会となっております。

※FOOMA JAPAN 2019の詳細情報は下記URLへ
http://www.foomajapan.jp/

 

今回は、アイスコーン印刷用プリンターを初披露いたします。

円筒形用のプリンターは今までにありましたが、今回披露いたします円錐形のプリンターは世界的に見てもありません。

今回のような食品用途や、それ以外の用途でも可能性が広がるプリンターになりますので、円錐形の対象物へのプリントにご興味ございましたら、是非ブースにお越しください。

 

【出展ブース】
サマック株式会社 様ブース内にて(ブース番号:西1H-31)

※出展社情報は下記URLへ
http://www.foomajapan.jp/exhibitor_info/exhibitor_details.php?u=1400109

 

弊社開発フードプリンターの近況2

 

弊社開発フードプリンターの近況1』でもご紹介した、可食インク インラインプリンター IL-168が新たに2台オーダーとなり、現在、川口工場で製造中です。

1台は今月中に出荷、もう1台は来月出荷の予定となっております。

※IL-168の詳細情報は下記URLへ
https://www.sanryu.com/print/flatbed02.htm#IL-168

 

国内・海外を問わず、多くのお客様からお問い合わせをいただき、順調に販売をしております。

「うちのこの商品にプリントできる?」などの簡単なお問い合わせからはじまり、弊社からのご提案や事前のサンプル確認など、製品の特長をよくご理解いただいた上で販売しております。

弊社では、機械導入前後の不明点やご不安な点を解消していただけるよう努めております。

 

また、FDA準拠のインクもご用意しております。

FDA(Food and Drug Administration)とは、米国食品医薬品局のことを指し、米国の「食品、医薬品及び化粧品に関する法律」の施行に携わる政府機関です。

現在、FDAが定める規格を満たしていることが国際的な標準となっており、安全性や有効性の基準とされています。

 

IL-168を使用したサンプル作成などもお気軽にお問い合わせください。