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サンリュウと他社3D転写の違い

サンリュウの3D転写システムと他社の3D昇華転写機/UVプリンタなどの違いについて

idt_3d_nanopressjpg3D熱転写フィルム使用。熱変形し真空中で曲面に追随。

 

1. 曲面への転写
直接印刷するUVプリンタや、「紙の転写紙」を使った昇華転写機で転写しても「平らな平面」へは問題なく画像を形成できます。つまり平たい形状のスマートフォン用スマホカバーの印刷面への転写などは問題なく転写できるわけです。しかし、曲面になるとそうはいきません。紙の転写紙は折り曲げることはできても、引き伸ばして曲面にきっちりあわせることはできない(3次元曲面に追随しない)からです。つまり、曲線状になっているスマートフォンカバーの端の方や、平たい形状のカバーでも、脇側になると難しくなります。そういった曲面への転写には、サンリュウのIDT Systems社製システムのように3D熱転写フィルムを使用しているシステムが必要です。
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2. リップソフトウェアと色合わせ
昇華インクは色の諧調が通常の染料や顔料インクと異なります。色を正確に合わせるためには高度なリップソフトと色合わせのノウハウが必要になります。特に3D昇華転写の場合は様々な要因が絡むので、単にリップ上だけで色合わせすればいいわけではありません。

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NanoPressの特徴解説

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イギリス、IDT社の3D昇華転写システムは三種ありましたが、いずれも多数個取り印刷が可能な量産型でした。新発売のNanoPressは、スマートフォンカバーを1個だけセットして転写する廉価で、最もコンパクトなシステムです。多くの地域に店舗を持って、現地で来訪客にオンディマンドの印刷サービスをするなら NanoPressです。位置合わせなど、印刷から転写までの作業も簡略化されています。

昇華転写なので、色再現領域が広く、色が鮮やかです。画像は素材に浸み込みます。耐摩耗性と光沢も自慢です。伸縮性ある転写フィルムを負圧で吸い付けるので、曲面に追随します。転写フィルム淵を固定するので、位置制御ができます。

→最新の3D転写機ラインアップはこちらです    →3D転写の動画

トナー転写紙 動作確認済プリンタ一覧

※動作保証ではありません。印刷テストを行い、自己責任でご使用ください。 (下の注意書きも参照のこと)

○:きちんと印刷できる  /  △:工夫が必要、もしくは一部がうまく印刷できない  /  ×:印刷不可  /  -:未確認

○:きちんと印刷できる  /  △:工夫が必要、もしくは一部がうまく印刷できない  /  ×:印刷不可  /  -:未確認

プリンタ メーカー
型番
用紙 最大 サイズ TC TS TB 水転 写紙
備 考
 リコー imagio Neo C245  A3  -  
imagio Neo C325  A3  -  
imagio MP C2500  A3  -  
imagio MP C3500  A3  - 印刷はできるが、特に濃いベタ画 像ではムラがでることがある。
IPSiO SP C710  A3 ×  - TBは一部定着せず印刷できない。 汎用Gは綺麗に印刷できる。
IPSiO CX7500  A3  -  
IPSiO Color 8100  A4  ○  
 Canon LBP5050(N)  A4 ×  -  
LBP-2410  A4  -  
LBP5200  A4  ○  サンリュウ使用機種
LBP5300  A4  -  
LBP5600  A3  -  
PIXEL CLC1130  A3  -  
PIXEL CLC1160  A3  -  
iR C3100  A3 ×  - TBはトナーがきちんと定着しない。
iR C3200  A3  -  
iR C3220  A3  -  
imagePRESS C1  A3  -  

 

プリンタ メーカー
型番
用紙 最大 サイズ TC TS TB 水転 写紙
備 考
 富士 ゼロックス C830  A3  - TBのみ、一部擦れてしまうこと がある。
C3050  A3  ○  
C3250  A3  -  
240 CP  A3  -  
Docucolor1250  A3  -  
 コニカ  ミノルタ bizhub c253  A3  -  
Pagemaster Pro  A3  -  
 セイコー  エプソン LP-8600  A3  - モノクロ機種
LP-8300C  A3  -  
LP-8800C  A3  -  
LP-S5500  A3  - 乾燥させ、上端にセロハンテープ を貼れば印刷可能。やらないと一 部擦れる。
LP-S7000  A3  -  
 京セラ KM-C2525E  A3 × × ×  ×  
 沖電気  工業 MICROLINE 9500PS  A3 ×  - TBは、淡く色褪せた感じになって しまい、印刷不可。

TC: トナー転写紙TC カットなしで画像部分のみが転写される転写紙 TS: トナー転写紙TS。薄いフィルムの低価格転写紙。全面転写タイプ。 TB: トナー転写フィルムTB。濃色地用白色フィルム。柔らかい風合い 水転写紙: 熱処理不要。自然硬化のみで陶器等に転写できる。

※ 掲載されているもののみが対応機種ではございません。ここに掲載されていない機種について は弊社まで直接お問い合わせ下さい。

ここに載っている機種であっても、販売終了していることがあります。プリンタご購入検討時には、今現在の販売状況を、価格.com 様 (←クリックでジャンプします) など、販売情報サイトで、ご確認ください。

ここに載っている機種であっても事前に印刷テストされることをお勧めします。(使用年数、環境により結果が異なる場合があります)。また、このデータはお客様からのフィードバックを元に作成された参考情報です。弊社が動作を保証するものではありません。

弊社では純正トナー搭載プリンタの使用を推奨しています。リサイクルトナーでは、同じ型のプリンタであっても上記表とは結果が異なることも考えられます。(弊社トナー転写紙の動作確認情報は、リサイクルトナーではなく、純正トナー搭載のプリンタを対象とした参考情報です。)

弊社の転写紙は、メーカー保証された普通紙ではありませんので、自己責任でご使用いただくことになります。 弊社はあらゆるクレームに対し、転写紙価格以上の責任を負いません。なお、お客様の不適切な使用の場合、弊社は転写紙価格に対しても責任を負いません。

濃色生地向け トナー転写システム

※文中の商品種類と価格は変更になっていることがあります。詳細は、お問い合わせください。

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低価格で高品質な 濃色生地向け トナー転写システム

Craft ROBO PRO とトナー転写フィルムを使用した、低価格高品質システムのご提案です。

 

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トナー転写フィルムを業務用カッターで自動カットした後は、写真のようにカット線に沿って手で剥がすことができます。 ※写真のカット線は、説明のためにわざと赤い色にしています。通常はカット線は、目に見えない位の淡い色にします。

 

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濃色地用転写フィルムは余白部分が不要な場合は、カッティングが必要不可欠になります。もちろん、簡単な形であればカッターやはさみを使ってカットすることも可能です。しかし、数字や文字のロゴ、複雑な輪郭のカットになると手作業では限界があります。 そこで登場するのが、カッティングプロッター(業務用カッター)になります。カットしたい線を画像データに加えて、機械操作にて指定した場所のみのカットを行なうことができます。 転写フィルムとカッティングプロッターの組み合わせで、多様な形の転写が可能になるのです! 以下に、そのシステムの一例をご紹介します。

 

1.システム構成

下記のようなものから構成されます。

(1) プリンタ ━ カラーレーザープリンタ、 もしくは、カラーコピー機

(2) グラフテック社 Craft ROBO Pro

(3) 濃色地対応 転写フィルム ━ トナー転写フィルムTB / トナー転写フィルムTL

(4) 剥離紙 ━ マット剥離紙 / 光沢剥離紙

(5) Insta社 小型転写機

※セット販売ではなく、個別販売もお受けします。

 

 

2.システム詳細

(1) プリンタ (価格例)

メーカー   型番   価格   実売価格
OKI COREFIDO C830dn  ¥268,000  ¥180,000前後
Canon LBP5610  ¥248,000  ¥100,000前後
EPSON LP-S7000  ¥228,000  ¥120,000前後

 

カラーレーザープリンタ、もしくはカラーコピー機が必要です。電気量販店等でご購入下さい。当社経由より安く入手できます。プリンタを検討される際は別ページの 動作確認済みプリンタ一覧 を参考にして下さい。トナー転写フィルムTBとTLはオイルレスプリンタとの相性がよい転写フィルムです。

 

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(2) カッティングプロッター

グラフテック社 Craft ROBO Pro CE5000-40-CRP 定価¥120,000 (本体価格(税抜))

低価格で高性能な、カッティングプロッターです。

厚い素材、柔らかな素材などのカットがしにくい素材に対応できるタンジェント機能※を搭載。(カットできない素材もあります)自動トンボ読み取り機能搭載で必要部分のみのカットが可能。専用ソフトROBO Master Proと、Illustrator用プラグイン付。9個のカット条件をメモリでき作業性も良いです。濃色地対応トナー転写フィルムTB,TLともカット可能なプロッターです。

 

※タンジェント機能 厚い素材、柔らかく伸びやすい素材などに有効な機能。指定したカット線よりもMAX0.2mmオーバーカットを行う。その上で一度刃を浮かせてから、続きのカットを行なう。鋭角部分などをカットをするときに、素材が持ち上がったりエッジが汚くなる現象を改善する。

 

(3) トナー転写フィルム

濃色地対応トナー転写フィルムTB   ¥14,910/ 50枚 (A3)

濃色地対応トナー転写フィルムTL   ¥12,600 /100枚 (A3)

 

どちらも白地のフィルムに画像を印刷し、フィルムごと生地へ転写するタイプになります。TBは柔らかな風合いで、業界最強の洗濯強度を持つ高性能転写フィルムになります。(社内テスト結果より→ 社員ブログ 09/04/17 参照 )TLは非常に低価格で、カット性能にすぐれた転写フィルムです。  プリンタで印刷後、カット、転写という少ない手順でフルカラー転写が可能です。版を必要としないので、小ロットにも低価格で素早く対応できます。

 

(4) 剥離紙

マット剥離紙   ¥3,035/ 100枚 (A3相当) ※ 繰り返し使用可能。

光沢剥離紙   ¥9,681/ 100枚 (A3)    ※ 繰り返し使用可能。

 

通常はマット剥離紙を使用します。転写フィルムと熱板を直接接触させると、フィルムが熱で溶けてしまったり、トナーが剥がれたりしてしまいます。それを防ぐために、シリコン加工(物をつきにくくする加工)された剥離紙をフィルムの上に乗せて転写をします。繰り返し使用可能です。

マグカップや、アルバム本の表紙など特殊な用途において光沢が必要な場合は光沢剥離紙を使用します。こちらを利用すると、高級感のある光沢が得られます。

 

 

(5) Insta 小型転写機

Model 101(プラテン 330mm×330mm)¥115,000 A4まで

Model 138 (プラテン 381mm×508mm)¥165,900  A3まで

Model 158(プラテン 381mm×508mm)¥207,900 A3まで

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Model 101

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Model 138

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Model 158

 

小型熱転写機のトップシェアを持つInsta社商品をご用意しております。特に衣類への転写の場合は、洗濯強度が重要になってきます。均等に、しっかりと圧力をかけることのできるプレス機をご使用になることをお勧めいたします。

Model 101は低価格モデル。転写サイズもA4までで機械も場所を取らず、これからトナー転写を始めるという方にお勧めです。

Model 138が弊社で一番実績のある機種になります。 Tシャツや綿バッグなど薄い物への転写にはこちらがお勧めです。

Model 158は、トナー転写用/水性顔料インクジェット転写用の転写機です。プラテン上昇機構の違い以外はModel 138と同じ機能を持っており、さらにプラテンを上げる作業が自動で出来るため、連続作業をする場合の作業者への 負担を軽減することができます。

 

 ☆カラーコピー機もしくは  レーザープリンタ用システムです☆

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(6) コスト計算例

《機械償却コスト》

Canon LBP5610 ¥100,000 / 熱処理機 Model 138 ¥165,900 = 計 ¥265,900

プリンタ印刷速度は A4で約20秒、転写時間が20秒、セット時間(Tシャツセット 転写フィルムを剥がす、転写フィルムをセット)は約4分  60分/4分=15着/時

機械償却を2年とすると ¥265,900 / 2年×12ヶ月×20日×7時間×15着 = ¥5

《ランニングコスト》

トナー転写フィルム TB 使用時 A4 1枚あたり: トナー代 ¥20 /転写紙(TB) ¥149 /剥離紙 ¥24※ /綿Tシャツ ¥300 = 計 ¥493 ※剥離紙は、繰り返し使用可能です。

トナー転写フィルム TL 使用時 A4 1枚あたり: トナー代 ¥20 /転写紙(TL) ¥63 /剥離紙 ¥24※ /綿Tシャツ ¥300 = 計 ¥407 ※剥離紙は、繰り返し使用可能です。

《人件費》

時給千円のパートを1人雇う場合 ¥1,000/15着 = ¥67×1.2%(管理費) = ¥80

 

☆このシステムは白を含めた淡色地  Tシャツにも使用可能です☆

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《Tシャツ1枚当たりのトータルコスト》

トナー転写フィルム TB: ¥5 + ¥493 + ¥80 = ¥578 トナー転写フィルム TL: ¥5 + ¥407 + ¥80 = ¥492

一着当たりの売値を、¥700という低価格に設定した場合でも、利益 がでることになります。

 

以上

 

必要な機材(簡単な説明) オリジナルTシャツ作成用

必要な機材(簡単な説明) オリジナルTシャツ作成用 ※詳細は他の技術解説をご確認ください

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Tシャツ  などの転写用機材(トナー/顔料インク用)

 

1.  コンピュータ が必要です →Mac や Windows機 など

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2.  プリンタは インクジェット でも可 →顔料インク対応の転写紙が使えます

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3.  レーザープリンタ が ベター です → いろいろな用途に使える転写紙が、たくさんあります

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4.  熱転写機 (熱プレス機) が必要です →転写機は薄物用/厚物対応、手動式/自動式、等あります

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5.  転写紙 が必要です 普通の綿Tシャツに転写可 →トナー用転写紙/染料・顔料、インク用転写紙など

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6.  カッティングマシン があると便利です →トンボを読み取り、転写紙を自動カットできます

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昇華転写に必要な機材(昇華染料インク用)

1.  コンピュータ が必要です Windows機 や Mac など →色合わせ用プロファイルや、Windows機用RIP使用を推奨

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2.  インクジェットで昇華インクを使います →昇華インク用補充システムを設置して使います

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3.  熱転写機 (熱プレス機) が必要です →転写機は薄物用/厚物対応手動式/自動式、等あります

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4.  昇華インク対応の転写紙 が必要です →ポリエステルTシャツに転写可。ポリエステル含有率が下がると発色が悪くなります。

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5.  マグカップ転写にはクランプ等を使用 →マグカップへの昇華転写にはマグカップ専用転写機やマグ カップ用クランプを使います

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6.  帽子にはキャップ用転写機を使用 →帽子のツバへの印刷には、キャップ用転写機使用します

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転写紙と転写手順の説明動画

 

 

 

3次曲面昇華転写システムの解説

3次曲面昇華転写システムの解説

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1. はじめに

「3D印刷」というと、コンピュータを使った立体形状物を造形するシステムを思い浮かべる方も多いと思います。ですから、初めに言葉を定義しておきます。本稿で採り上げる「3D印刷」は立体物造形でなく、正真正銘の印刷を意味します。「3D昇華転写印刷」とは、その中の、昇華印刷画像を転写する一手法を表すものです。そして、従来のアナログ方式の立体形状物加飾方法でなく、デジタル印刷技術を用いたものなので、今、最も注目を集めている新しい手法です。以下、関連技術を含めて紹介して行きます。

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2. 携帯カバー市場と加飾方法

10年間で2倍になるような携帯電話加入契約数の伸びと平行して、様々な携帯電話アクセサリー商品が現れています。携帯カバーはそのひとつで、これにも沢山の種類があります。ソフトケース、ハードケース、皮ケースなどです。これらへの加飾方法も様々です。平面加飾なら、「着せ替えシート」、「デコシート」「携帯シール」「携帯電話シール」などの名称で、顧客が自分で貼り付けるシールが、普及しています。本稿を読まれる加飾を担当する方は、三次元形状物への直接加飾方法への知見を高めようという方々と予想し、これらの平面印刷に関する情報は割愛します。

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三次元曲面への加飾方法として、従来から知られている方法は、携帯カバーの加飾にも採用できます。その一つが、プラスチック成型用の金型内に印刷済みフィルムを送り込み、溶かした樹脂を流し込んでフィルムと樹脂を一体成型する一体成型するインモールド成形手法です。この手法は成型時に画像を印刷したフィルムを金型に挿入して貼り合わせる手法で、成型後の携帯カバーへの加飾はできません。

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もう一つの普及したした手法は、水圧転写です。これは日本で開発された技術です。 (水圧転写は、多色曲面印刷、キュービックプリンティング、カールフィットなどとも言われます) 工程としては、画像印刷された水溶性フィルムが水に浮かべられます。上から製品を押し込むと、軟化したフィルム画像が水圧で製品に回り込み貼り付きます。画像の強度を得るために、透明オーバーコートされます。水圧による回り込みなので位置合わせが困難という問題があります。

水圧転写は、成型後の携帯カバーへの後加工はできますが、前のインモールド成形手法同様、画像形成はグラビア印刷などのアナログ手法に頼っていたので、大量発注が必要でした。最近はデジタル方式のインクジェット用水圧転写フィルムも出てきたようです。パッド(タンポ)印刷という、曲面転写手法もあります。凹版からシリコンパッドでインクを拾い上げ、製品へ押圧転写する手法です。これも成型後の後加工はできますが、凹版なのでアナログ手法です。

3. 三次曲面デジタル加飾方法

 

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UV-LEDインクジェットプリンター VersaUV LEF-20

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UV硬化フラットベッドインクジェットプリンタ UJF-3042

携帯カバーの加飾では、少量ロット需要への対応が必須で、デジタル加飾方法が求められます。最適な手法はインクジェットです。事業のスタート時には、UVインクジェットプリンタがお勧めです。上平面の加飾しかできませんが、そのような需要もあり、UVプリンタ数台を導入して商売を始められるところが少なくありません。当社は、Roland社、ミマキエンジニアリング社のUVプリンタを販売しています。

ただし、より美しい発色、広い色領域、側面に回りこむ曲面追随性などを求められる場合は対応できません。上にご紹介した水圧転写加工からUVプリンタまで、全て顔料インク印刷画像なので、染料インク印刷画像の鮮やかさは得られません。曲面対応もできません。ただし、最近では、曲面対応のために伸びるUVインクで真空転写という手法も紹介され始めたので、一考の価値はあります。

さらに、展示会などで盛んに見かける三次元フィルム転写手法にも触れて置きます。三次元転写フィルムは、下から、接着層、画像層、クリア層、キャリアフィルムから構成されたものです。フィルムを加熱してやわらかくした後、減圧した力で携帯カバーに巻きつける点は、3D昇華転写システムと類似しています。この後、紫外線を照射してクリア層を硬化させ、キャリアフィルを剥がします。デジタル印刷画像を三次曲面に転写できる点は同じです。長所は、表面にクリア層が来るので硬いクリア層にすれば摩擦に強くなる点。短所は、フィルムが巻きつくので、端面からめくれて汚くなりやすいこと。また、携帯カバーに望まれる「裏側端面も画像を回り込ませたい」という需要に対応できないことです。白い部分が残ってしまいます。回り込みが不足して白い部分が残る点は、インモールド成型でも同様です。

 

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三次元フィルム転写

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3D昇華転写

 

これまでご紹介した様々な手法の問題点の多くを解決する手法が、以下にご紹介する3D昇華転写システムです。

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4. 3D昇華転写システム

3D昇華転写システムの工程では、まず、昇華インクを用いて加熱変形の容易な転写フィルムに画像を印刷します。次に冶具に差し込んだ携帯カバーを載せたトレーをシステムの真空加熱炉に挿入します。この後、真空ポンプで減圧されることで熱軟化したフィルムが製品に巻き付き、プリセットされた転写条件で画像が製品素材の中に染み込んで行きます。

製品素材の表面に色料が付着する顔料印刷とは異なり、昇華転写画像には物理的な凹凸がありません。引っかきで画像が取れるのは、製品素材が削られた時だけです。ですから、顔料印刷面に後から必要になる強度アップのための透明オーバーコートは不要です。また、染料画像なので鮮やかな仕上がりになります。

位置合わせもできます。転写フィルムに画像を印刷する過程で、一緒に位置出し用のパンチ穴を印刷しておきます。 携帯カバーを載せるトレーには、この穴に差し込む位置出し用ピンが設けられており、画像は常に所定の位置に印刷されるのです。

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5. IDT社の3D昇華転写システム

3D昇華転写システムの理論は古くから知られていました。難しかったのは、転写画像品質の安定性、システムの高い生産性、様々な製品形状・素材に対応する汎用性などです。当社が総代理販売する英国のIDT社は、長年にわたる3D転写分野での経験を基に、小型から大型まで多くの種類の3D昇華転写システムを作り上げました。

携帯カバー転写の例で言えば、携帯カバー4個を1枚のトレイに並べて転写する最もコンパクトなシステムD10.1型、6個を2枚のトレイに並べて12個を同時に転写するシステムD10.2型、9個を3枚のトレイに並べて27個を同時に転写するシステムD10.3型、さらに高い生産性を求める顧客のためには、携帯カバー9個を7枚のトレイに並べて63個を同時に転写するシステムD10.4型まで用意されています。 位置出し用のパンチ穴は、比較的小さなD10.2型システムまでは手作業で開けます。D10.3型以上のシステムでは、エア駆動のパンチング機で開けるので、より容易に位置出しが可能になります。 ※その後さらに小型の NanoPress システムが追加になりました。

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6. サンリュウの提供する昇華転写ノウハウ

昇華転写印刷は、単純なインクジェット印刷と異なり、良い印刷品質を得るには、特殊なインク、特殊な印刷素材を用い、それらに合わせた色修正プロファイルを作製した RIPを必要とし、被転写素材毎に異なる適切な熱転写条件で転写を行わなければなりません。当社は、この分野における業界のパイオニアです。約15年間に及ぶノウハウを蓄積しています。このノウハウを基にした高い技術サービス力が、当社存立の基盤になっています。

平面でなく三次曲面へ転写する3D昇華転写システムなら、なおさら複雑な技術知識が求められますが、英国 IDT社と当社を合わせて提供する業界最高サポート力はその需要を満たすものと自負しています。

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7. これからの可能性

3D昇華転写システムの普及が始まっています。普及にしたがって、転写フィルムなどの資材価格は低下を続けており、生産コストの低下が更なる需要を生み出すと予想されます。 爆発的な需要拡大を示すiPhoneやAndroid携帯、blackberryなどの、いわゆるスマートフォン用携帯カバー用3D転写はもちろん、iPadやAndroid、WindowsタブレットPCなどのタブレットコンピュータ、他のガジェットやノート型PCのカバー様々な家電商品パネル、スポーツ用具、自動車部品、カメラ部品、眼鏡部品、記念品、同人向け市場グッズなどに広がりを見せています。素材材質も樹脂に留まらず、ガラス、金属セラミックなど、ある程度の耐熱性が確保できるものであれば素材を選びません。

需要が拡大すれば、転写に関連する解決すべき課題も増えます。3D昇華転写システムは新しいものであり、システムは改良が進み、用途別に種類が増えるでしょう。また、自動化レベルの上がった高い生産性のシステム登場も必至です。当社はお客様からの問題提供を歓迎し、これらを解決して新しい技術を生み出すことを目標として掲げました。

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→最新の3D転写機ラインアップはこちらです    →3D転写の動画