デコラル瓦版(NewsLetter)ではアルミなどの金属へ昇華転写と複雑な形状へのパウダーコーティング(粉体塗装)技術を合わせたシステムの製造を行うメーカーDecoral社の加飾物や技術をご紹介します。

Decoral社がEUROSHOPで展示した木目調のアーチ状湾曲アルミ建材(Decoral社の動画より抜粋)
設計業界の人がどの部分に関心を持っていただいているか、天然木材や既存のビニール貼り手法との違い、木目調の曲面アルミ建装材の構造や製造方法などを紹介します。
直径約2mサイズの木目調な湾曲アルミ建材サンプル
建設業界の方、設計事務所の方の関心はどのあたりのポイントなのでしょうか?
Decoralシステム建装材の、曲面に付けた木目調の仕上がりが美しいところです。
既存のものでは、このような曲面にできないのです。湾曲面でここまでの角度があると、ビニール貼りではしわになってしまいます。ここまでの湾曲では、シート張り建材では難しいです。Decoralシステム建装材を使えば、今までには技術的な問題で実現できなかったようなクリエイティブなデザインの曲面建材が創造可能になるところです。
湾曲アルミ建材サンプルを上から見て
天然木材との比較ではどうですか?
このような直径約2mサイズの木目調な湾曲アルミ建材を天然木材で作成するとしたら、太い幹から切り出さないといけないので非常に価格の高い建材になってしまいそうです。
天然の木材に熱をかけて曲げることもあるようですが、さすが限度があるようで、ここまでの曲面にはできないのではないでしょうか。
木目の見栄え的にコストとの兼ね合いになる部分は?
実はそういう部分があります。この直径約2mのサンプルはどの4面を見ても曲面ごとに木目が続いていますね。見た目は一見全く問題なく美しい感じです。
しかし端から端まで、部分部分を全面じっくり詳細に見ていくと、
目立たない部分に実は不連続な箇所があります。
右側の側面、中央付近の木目がずれている
よくよく見るとこういう不都合な点はあるものの、全体的な見た目は全然問題に感じませんね。
例えばこの直径約2mの円の一部を切り取ったサンプルのような、大きなサイズの曲面アルミ材にそのまま大きな昇華転写フィルムを使うとコスト的な問題が発生します。円柱の4面に実際に使用するフィルム分量はそんなに必要ないわけで、木目調昇華転写フィルムのかなりの部分が無駄になってしまいます。
そのあたりの都合なのか、このサンプルには不連続な場所がありますね。曲面アルミ材の直径よりは、少し小さめなフィルムを使って切り貼りしたようです。ここはコストをどれぐらいかけるか、予算との兼ね合いになってくるようです。
フィルムを無駄なく使うような貼り付け方に対して、デザイン的に一番美しくなるような、曲面に最適に沿ったような木目にするのにもそれなりにコストがかかりそうですね。
構造や製造手順を教えてもらえますか?
目的のアーチ状湾曲角材を作るためにパーツを溶接し、研磨します。
粉体塗装コーティングなどの後で、なめらかな外側部分4面に昇華転写フィルムを張り付けます。
その後、加熱しながら空気を抜いて真空にして転写(バキューム転写)して完成です。
基本的なところからdecoralシステムの手順をもう一度教えてください。
では手作業で平面アルミ材を扱う場合から、アーチ型湾曲アルミ材の場合まで順を追って説明します。
1.手作業での平面アルミ材テストの場合 (DECORAL社の動画より抜粋)
平面アルミ材に受理層をコーティング。

木目調フィルムの選択

木目調フィルム必要部分だけカット

カットしたフィルムをプレス機台に配置。

転写フィルムの上に平面アルミ材を配置

その後熱プレス。(※平面の板の場合。複雑な形状のものは空気を抜いて真空で熱転写)

熱プレス後にフィルムを剥がす。高温注意です。

フィルムを剥がすと……

木目模様だけがアルミ版に転写されている。下は剥がしたフィルム。

転写された木目部分の拡大図。

2.大型製品を大量生産する場合の流れ作業
自動機械で受理層をコーティング

木目調フィルムも自動で流れてゆく(両脇がフィルム)

作業員の人が行う工程もあります。

完成した木目調の長い板製品

複雑な形状です
3.3次曲面アルミ材の場合(アーチ状の曲面アルミ材などでも基本は同じ)
受理層コーティング後に、木目調フィルムの上に3次曲面アルミ材を配置

耐熱テープで木目調フィルムを3次曲面アルミ材に固定


裏側は結構ぐしゃぐしゃしてたりしますが問題ありません。

表側。フィルムが密着せず少し浮いていても、バキューム転写で空気が抜けて真空状態になるにつれ製品に密着し、転写されます。

真空転写機で熱転写

フィルムを剥がす。木目は熱転写されてアルミ材側に残る。

完成

最初に、目的のアーチ状湾曲材を作るためにパーツを溶接し、研磨します。
アルミ材をアーチ状に加工
受理層である粉体塗装コーティング後に、木目調フィルムを張り付け。大雑把な固定でも、真空状態でアルミ材にピッタリ張り付き熱転写されます。
この転写例だと木目調フィルムをかなり節約して、幅広ガムテープをぐるぐるっと巻きつけるように巻いて作成しているように見えますね(結構切れ切れでも木目さえあれば、十分木材のように見える感じになるようです)。
逆に、木目調フィルムを贅沢に使うと縦方向に長い自然な木目調にもできます。
こちらの転写例は、もう少し贅沢にフィルムを使っている感じですね。
デコラルシステムで木目調で急角度のアーチ状湾曲面のアルミ建材を作ってもしわにならないのは「木目部分だけ」が転写され、急角度や経年劣化などでしわの要因となりうるフィルム状の部分は使われないからなのですね。
Decoralシステム建装材の特長
- 曲面の木目調仕上がりが美しい。
- 海外で最大20年保証の耐UV性仕上げ。
- 多種多様な無数の木目調カラーや大理石模様他のカラーをご用意。
- どのタイプの仕上げも耐スクラッチ性(ひっかき耐性)を付与。
- 最大長さ24フィートまでの複雑な押し出し材を装飾可能。
- リアルなデザインの光沢、マット、およびテキスチャー仕上げをご用意。
- オプションで落書き防止仕上げも。
Decoralシステムで様々なタイプの表面加飾を施された直線/曲面の木目調アルミ材が作成され建材として使用されています。ぜひお問い合わせください。